「父のファンを僕のファンにしたい」桜庭ジュニアがRIZINで衝撃の26秒TKOデビューも伝説PRIDE"IQレスラー"の父が「マイナス20点」をつけた理由とは?
レフェリーストップにつながった、流れるような攻撃は決して偶然に繰り出されたわけではなかった。19歳でデビューし、大世戦がプロ42試合目だったタイトルマッチ経験者の矢地は、TKO負けに至るまでの数秒間をこう振り返る。 「距離感とリズムが合わない間に、痛いパンチを一発食らっちゃった、という感じです。骨がずいぶん太いなと思いましたけど、パンチ自体も重かった。得体の知れない選手だったので、いつも以上に気を引き締めて、すべてを想定してしっかりと準備してきました。ただ、今日は彼の日だった、ということだと思っています」 父の全盛時を知るRIZINの榊原信行CEO(61)も、まばゆいスポットライトを浴びるホープに「どんどんマッチメイクしていかないと」と目を細める。 「将来のスーパースターになるのならば、この大舞台で勝つと本人が事前に言っていたなかで実際に勝った。お父さんと同じくIQレスラーに見えるし、強運の持ち主、というのも間違いない。この大舞台で、しかも矢地が相手のデビュー戦で物怖じせず、あれだけの大仕事を成し遂げられる。もう期待しかない、という感じですよね」 もっとも、勝利から時間が経過していくとともに、父から80点をつけられた意味を、大世はさらに強く実感するようになっていた。 「大人になって初めて人を殴って、相手の選手が(リングに)崩れていくときはなぜかスローモーションに見えるような感じがして。ちょっと気持ちよかったけど、もうちょっと長く戦った方がみんなの目に留まる時間も長くなったんですよね」 試合後のインタビュールームでは、新聞記者に扮して侵入していた極真空手出身でキックボクシングのRISEから総合の舞台へ本格転身している日本語も堪能な“ブラックパンサー”ベイノア(29、フリー)から挑戦状を叩きつけられる場面もあった。 「経験値が少ないので多くの試合に出たい気持ちもあるし、MMA歴が浅いので修行する時間もほしい。とにかく、修羅場といえる経験をどんどん積んでいきたい」 成長していくうえで近道はない。秒殺デビューはすでに過去へ置いてきた。ベイノアの件に象徴されるように、一気に騒がしさを増した周囲とは対照的に、大世は父と同じく地に足をつけながら一歩ずつ、貪欲に「強さ」を追い求めていく。 (文責・藤江直人/スポーツライター)
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