「父のファンを僕のファンにしたい」桜庭ジュニアがRIZINで衝撃の26秒TKOデビューも伝説PRIDE"IQレスラー"の父が「マイナス20点」をつけた理由とは?
総合格闘技イベント「RIZIN DECADE」が、大晦日の12月31日にさいたまスーパーアリーナで行われ、第2部の「RIZIN.49」でレジェンド格闘家、桜庭和志(55、ハイタイド)の長男・大世(26、サクラバファミリア)がタイトルマッチ経験者の矢地祐介(34、フリー)に1ラウンド26秒でTKO勝ちする衝撃のMMAデビューを飾った。一時は不動産の仕事に就きながら「女性にモテたい」と一念発起し、24歳で父と同じ総合格闘家を志したホープが、素晴らしい第一歩を踏み出した。 【映像】RIZINフライ級王者の堀口恭司が驚愕の技で度肝を抜く
気がついたときには、試合が終わっていた。 第1ラウンドの開始を告げるゴングが鳴ってからわずか26秒。得意技の左ミドルキックを矢地につかまれた直後だった。右足だけで立っていた体勢から、大世がこん身の左フックを矢地のあごに打ち込む。たまらず倒れ込んだ矢地の上に飛び込み、すぐさまマウントパンチを浴びせると、レフェリーが試合を止めた。 MMAデビュー戦で曲者のベテランを秒殺。衝撃的な結末とリング上から届けた初々しいヒーローインタビューのギャップが、会場のボルテージをさらに高めた。 「はじめまして、桜庭大世です。七光りでも強いんだぞ、というのを少しは見せられたかと思います。もっと練習を頑張っていくので、応援よろしくお願いします」 もっとも、セコンドとして試合を見守っていた、父の和志から与えられた採点は意外にも厳し目だった。大世は「80点だと言われました」と苦笑する。何が20点の減点につながったのか。父とかわした、プロの神髄を問う会話を大世が明かす。 「もっといろいろと(お客さんに)見せないとダメだ、ということだと思っています。すぐに試合が終わってしまう秒殺は、あまりよくないと以前から言われていて。でも、今日は盛り上がっていたので『しょうがないから80点だ』みたいな感じでした」 自宅を訪れた父の友人に誘われる形で、13歳から22歳まで柔道に打ち込んだ。大学卒業とともに柔道をやめ、不動産会社に就職する。しかし、24歳のときに「女性にモテたい」と一念発起。父の背中を追うように総合格闘家を志した。 仕事をやめ、プロとなって2年あまり。昨年7月の「超RIZIN.3」のリングに父とともにマスクをかぶって上がると、父から「秘密兵器です」とマイク越しに紹介され、大晦日の「RIZIN」でデビューする仰天プランが発表された。 迎えた「RIZIN.49」の第4試合。父の入場曲『SPEED TK RE-MIX』が響きわたる場内を、大世は父と同じSAKUマスクをかぶって入場してきた。父の人気が絶頂だった時代へタイムスリップしたかのような光景のなかでのリングイン。異色の演出には、ファンの感覚を過去と現在との間で行き来させる狙いが込められていた。 「おじさん世代のファンと言ったらあれですけど、おじさんたちがいい具合に喜んでくれるようなところと、桜庭大世を出さなきゃいけないところを考えています。父のファンを僕のファンにしたいので、おじさんたちが喜ぶのであれば何でもします」 真似るだけではない。ファイトスタイルは父と一線を画している。 「聞いた話だと、父は本当に寝技ばかり練習していたらしいんですけど、僕はK-1ジムの先生のもとで打撃もしっかりとやろうと取り組んできました」 冒頭で左ミドルキックを得意としたのは、積み重ねてきた努力の賜物だった。さらにベテランの矢地との攻防で、思い切りのいいキックを見舞い、間髪入れずにこん身のパンチを繰り出すコンビネーションを繰り返し練習してきた。
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