不審者情報に防犯ブザー…警視庁アプリ「デジポリス」人気 闇バイト強盗で防犯意識向上か
警視庁が提供する防犯アプリ「デジポリス」がダウンロード数を大幅に伸ばしている。今年10月末ごろから急増傾向にあり、11月末には自治体や行政のアプリとしては〝異例〟といえる82万ダウンロードを突破した。首都圏を中心に、「闇バイト」に応募した実行役らによる強盗事件が相次いでおり、人々の防犯意識が高まったことが背景にあるとみられている。 ■ダウンロード3倍に アプリを運用する生活安全総務課によると、今年1~9月は1カ月のダウンロード数は、おおむね5~6千件台で推移していたが、闇バイト強盗の発生が相次いだ11月は約1万7千件と3倍に達したという。生活安全総務課の二宮健課長は「強盗事件の発生で、防犯意識が高まったことが背景にあるのではないか」とみている。 アプリには「#BAN闇バイト」の項目も設けられ、闇バイトに加担しないよう呼びかける動画を紹介。万一闇バイトに応募してしまった場合の相談先として、警察相談ダイヤル「#9110」などの電話番号も記載している。 アプリは平成28年に運用を開始。自宅や職場周辺など登録した地域の不審者情報などが自動で届くなど、子育て世代や高齢者世代などに好評を得て、ダウンロード数を伸ばしていった。防犯ブザーのほか、痴漢被害を周囲に訴える画面表示といった、さまざまな機能も有する。 生活安全総務課によると、アプリで自身が住む地域で市役所職員をかたる人物からの不審な電話が相次いでいることを知り、実際にかかってきた電話を「撃退」したケースも確認された。 また、今年11月には電車で通学途中の女性が痴漢被害に遭った際、アプリの撃退機能を使用。自身のスマートフォンの画面で«助けてください»とする表示を選択し、周囲に助けを求めて容疑者が確保されたケースもあったという。 ■「お守りアプリに」 アプリには「ルフィ」などと名乗る指示役らによる広域強盗事件を受け「住まいの防犯対策」タブも令和5年より新たに設置されている。«新聞はためない»«足場になるようなものは置かない»«窓に補助錠を取り付ける»などの「自衛策」を紹介している。 年末年始は自宅をあける機会も増え、空き巣などへの不安を抱く人も少なくないとみられる。二宮課長は「防犯に役立つ情報が掲載されており、『お守りアプリ』として活用してほしい」と話した。(橋本愛)