三菱の「4WD」何がスゴイ? “スーパーセレクト4WD”に「AYC」? 他メーカーとは違う「三菱の取り組み」とは
戦前から続く4WDの歴史
三菱といえば、「パジェロ」や先日デビューした新型「トライトン」に代表される四輪駆動(4WD)による高い悪路走破性を備えたクルマとともに、「ランサーエボリューション」や「エクリプスクロス」、「アウトランダー」といった乗用車系やSUVにおいても、一般路での高い安定性や旋回性能の高さを4WD技術によって実現したクルマが思いつきます。 三菱はなぜ、こうした4WD技術に強くこだわるのでしょう。歴史をさかのぼりながらその強みを探ってみましょう。 【画像】超カッコイイ! ”これはパジェロ”な三菱 新型「本格4WD」を画像で見る(17枚)
三菱が初めて自動車を手掛けたのは1917年の夏に「A型」と呼ばれる試作モデル(まだ三菱自動車ではなく三菱造船カワサキ造船所)の開発が始まり、翌1918年には完成。生産を開始しているのですから欧州に引けを取らない歴史のある自動車メーカーといえるでしょう。 さらに1935年には6輪駆動のトラック「PSF33型」を開発しただけでなく、軍用の四輪駆動車PX33型を1936年に完成させています。 PX33型は4台の試作車が作られましたが、三菱本社筋で次期尚早との意見も多かったことから、生産には至らなかったようです。 しかし、このころから三菱は積極的に四輪駆動車の研究と開発に力を入れていたことが史実により証明されているのです。 さて、三菱は1952年にアメリカのウイリス社からパーツを輸入し組み立てる、ノックダウン方式で「シープ」の生産を開始。官公庁に納入が開始されます。 そしてついに1953年に純国産化した「ジープ・CJ3型」が登場するのです。そうして三菱といえばジープ、三菱といえば四輪駆動車というイメージが確立していったといえるでしょう。 なぜここまで三菱は四輪駆動車にこだわったのでしょうか。それは、どんな悪路でも安全、安心に行き来できる機動性に着目していたからです。 特にジープにおいては戦後、アメリカ(進駐軍)が持ち込んできたクルマ達を目の当たりにし、その技術力と機動性が当時の日本車のレベルにはないもので、そこに技術者魂に火がついたともいえるかもしれません。