4人家族で「3500万円」の住宅ローンを借りたいです。今「変動金利」で借りるのはリスクが大きいですか? 固定金利のほうが良いのでしょうか? 頭金はゼロです…
今年3月に日本銀行(日銀)がマイナス金利の解除を発表しました。そして7月末には追加の利上げを決定。これから住宅ローンを借りる人にとっては、「固定金利」もしくは「変動金利」のどちらが正しい選択なのでしょうか。 そこで本記事では、今後の金利の見通しに加えて住宅ローン選択の注意点を解説します。 ▼がんの発覚で「住宅ローン」がチャラに!? その驚きの理由を解説
長期間で借りるなら「固定」が正解
今回の相談の場合、ローンを組む期間が明確ではありませんが、頭金がゼロということから長期間のローンを組むと想定されます。もしかすると、不動産業者からは「支払金額が少ない変動金利で」と勧められているかもしれません。これは「金利上昇があったとしても固定金利を超える水準にはならないだろう」といった希望的観測によるものと思われます。 しかし、この金利上昇局面において、変動金利で住宅ローンを組むのはリスクが大きいと思われます。これから2人の子どもを育てていく中で、学費などの負担が大きくなることから、ある程度家計の支出面を把握するためにも固定金利で住宅ローンを組むのが安全でしょう。
子育て世帯は金利が優遇される
長期間かつ固定金利で住宅ローンを組むのであれば、「フラット35」の利用を検討しましょう。ご存じの人も多いかと思いますが、フラット35は最長35年間の固定金利で計画的な返済プランを実現できます。さらに一定の条件を満たした子育て世帯には「子育てプラス」が適用されますので、借入後5年間は金利の優遇を受けられます。 今回のケースは、4人家族で子どもが2人いると思われるので、5年間は借入金利から-0.5%の金利優遇が受けられます。2024年8月時点での融資率9割超(頭金ゼロがここに該当)の金利が、年1.960%~年3.520%、最も多い金利が年1.960%なので、5年間は1.460%となります。子育て世帯にとっては大きなメリットであるといえるでしょう。
これから金利はどのようになる? 注意点も解説
住宅を購入する際に気を付けておきたいのが、住宅ローン金利は「決済月によって変わる」ということです。 住宅ローンは申込時点ではなく、決済月(実際に借り入れをした月)時点の金利がベースとなるということです。前段で示した1.960%という金利が9月以降は上がったり下がったりする可能性がありますので、金利動向を常にチェックしておく必要があります。 今後金利がどんどん上がっていくのかどうかは、明確な答えが出せないのが現状です。 8月6日に、日銀の内田副総裁は談話で「金融資本市場が不安定な状況で、利上げをすることはありません」と話しました。これは株価の乱高下が起こっている状況下では追加の利上げはない、と読み取れます。 しかし、裏を返せば「株価が安定すれば利上げを行う」ということにもなりますので、金利上昇の可能性は高いのではないでしょうか。定期的に行われる日銀の「政策決定会合」の動向に注目していきましょう。本年度の開催予定は9月、10月、12月、1月、3月です。
住宅ローンを借りる場合は入念なシミュレーションをしよう
固定金利であれ変動金利であれ、住宅ローンの借入時には「どれくらいの金額だったら余裕を持って返せるか」を念頭に置いて検討する必要があります。「借りられる金額」ではなく「無理なく返せる金額」で買える物件で検討するようにしましょう。 出典 住宅金融支援機構 【フラット35】子育てプラス 日本銀行 【挨拶】内田副総裁「最近の金融経済情勢と金融政策運営」(函館) 日本銀行 金融政策決定会合の運営 執筆者:宇野源一 AFP
ファイナンシャルフィールド編集部