M4『iMac』『MacBook Pro』に手のひらサイズの『Mac mini』も アップルの“エキサイティングな発表”を振り返る
先週の10月25日、アップルのワールドワイドマーケティング担当上級副社長であるグレッグ・ジョズウィアック氏が「月曜日の朝からエキサイティングな発表が続く一週間が待っています。お楽しみに…」というメッセージをXに投稿した。 【画像】手のひらサイズながらパワフルな性能を持つ『Mac mini』 そして投稿の内容通り、日本時間の10月29日から31日の3日間に渡り、毎日1つずつ新製品についての発表が行われた。早速その内容を紹介してみよう。 ■M4チップ搭載でニューカラーを纏った『iMac』 初日に発表されたのは新しくなった『iMac』だ。搭載しているAppleシリコンがM4チップに置き換わった。それによりM1チップ搭載のiMacより1.7倍、M3チップ搭載のiMacより1.3倍も高速になった。GPUが10コアに増え、グラフィックスパフォーマンスもM1搭載iMacより2倍、M3搭載iMacより1.1倍と高速になっている。Neural EngineもM1の3倍以上とパワーアップされた。 ディスプレイに関しては24インチの4.5K Retinaディスプレイと変わらず、500ニトの輝度や広色域(P3)、True ToneテクノロジーとM3を搭載した前モデルと同じだが、反射を大幅に低減するNano-textureのガラスがオプションで選択できるモデルが用意された。 さらにディスプレイ上部に搭載している「1080p FaceTime HDカメラ」が新たな「12MPセンターフレームカメラ」に置き換わった。これは名称通りビデオ通話中の人物を中央に収めることができる「センターフレーム」機能を備えたもので、それにくわえて机上の様子を真上から俯瞰で眺めるように写せる「デスクビュー」にも対応した。 サウンド面に関してはドルビーアトモスや空間オーディオに対応した6スピーカシステムと同じで、ワイヤレス仕様に関してもWi-Fi 6E(802.11ax)とBluetooth 5.3で変わりない。 本体サイズやデザインは従来とまったく同じだが、カラーは新色のブルー、パープル、ピンク、オレンジ、イエロー、グリーン、シルバーの7色と一新された。付属のキーボードやマウスに関しても本体と同じカラーリングが施されており、ここは従来モデルと同じだ。ただし、充電ポートはLightningからUSB Type-Cに変わっている。 新しくなったiMacには4つのモデルが用意されているが、最下位モデルのみCPUが8コアだったり、ストレージの最大オプションが1TBまでだったりと、上位モデルとは選択できるオプションに違いがある。メモリに関しては標準で16GBを搭載しているが、最上位モデルは24GBと、ここも異なるポイント。オプションで選択できる最大容量も最下位モデルは24GBまで、そのほかは32GBまでアップグレードが可能だ。 背面のポートは上位モデルではThunderbolt 4を4つ備えているが、最下位モデルはThunderbolt/USB 4ポート×2と、数や仕様も異なる。その他にも最下位モデルはギガビットEthernetがオプションで、Nano-textureガラスが選択できないなどの違いがある。 外部ディスプレイに関しても、最下位モデルは最大6K解像度(60Hz)の外部ディスプレイが1台だけ接続できるのに対して、それ以外は最大6K解像度(60Hz)の外部ディスプレイが最大2台、または最大8K解像度(60Hz)の外部ディスプレイ1台と、接続できる台数や仕様が異なる。 このようにハード構成に違いがあったりオプションの選択肢が限られていたりするので、モデル選びの際は注意しよう。新しくなったiMacは発表当日の10月29日から予約開始、来週11月8日発売で、価格は198,800円(税込)からとなっている。 ■手のひらサイズに小さくなってパワーアップした『Mac mini』 2日目にはM4チップを搭載してコンパクトに生まれ変わった『Mac mini』が発表された。 同じデスクトップタイプでも、ディスプレイ一体型のiMacと異なり、好きなモニターやキーボードなどを組み合わせて使うことができるため人気がある機種だ。今回新たにデザインされたボディは12.7cm四方で高さ5.0cmと小さく、重量も0.67kg~0.73kgと軽量になっている。 新しいMac miniには、M4チップに加え上位の「M4 Pro」を搭載したモデルも用意されている。10つの高性能コアと4つの高効率コアを搭載したM4 Proでは、マルチスレッドのCPUパフォーマンスがM1 Proの最大1.9倍、M2 Proの最大1.6倍と高速化。GPUも20コアで、グラフィックスパフォーマンスはM1 Proの最大1.9倍、M2 Proの最大1.5倍と高速だ。 ポート類に関しては、背面にHDMIとギガビットEthernet、M4モデルはThunderbolt 4(40Gb/s)×3を配置、M4 ProモデルではThunderbolt 5(120Gb/s)×3に変わる。ディスプレイは最大3台が接続可能だ。また前面にはUSB Type-C(10Gb/s)×2とオーディオジャックを配置して、よりアクセスしやすいレイアウトになった。 M4を搭載したモデルはメモリやストレージの容量が異なる3種類を用意。オプションでメモリは最大32GB、ストレージは2TBまで選択可能だ。M4 Pro搭載のモデルは1種類だけだが、こちらはオプションでメモリが最大64GBまで増やせ、ストレージも最大8TBが選べる。メモリやストレージをマックスまで増やしたいなら、M4 Proモデル一択になる。 こちらの『Mac mini』も発表当日の10月30日から予約開始、来週11月8日発売で、価格は94,800円からとなっている。 ■M4 Maxを選択可能な最高のMacBook Pro 最終日の3日目に登場したのが『MacBook Pro』だ。こちらは従来の筐体にM4シリーズをのせたパワーアップ版となるが、M4、M4 Plusにくわえて最上位の「M4 Max」が選べる点が最大の特徴だ。 ノーマルのM4でもM1チップ搭載のMacBook Pro(13インチ)より1.8倍、M3 MacBook Pro(14インチ)より1.3倍高速になっている。M4 ProやM4 Max搭載のモデルでもCPUやGPUパフォーマンスがアップしているので、グラフィックスを駆使するワークフローを多用するユーザーには朗報だろう。 ボディは従来と同じで、14インチと16インチのディスプレイサイズを用意している。最大1000ニト、HDRコンテンツは最大1600ニトのピーク輝度とXDRディスプレイのスペックは変わりない。Nano-textureディスプレイのオプションも同じだ。ただし、ディスプレイ上部に搭載している1080p FaceTime HDカメラが新たな12MPセンターフレームカメラに置き換わった点は新しいiMacと同じだ。iPhoneをWebカメラとして利用しなくても「センターフレーム」や「デスクビュー」が実現できるようになった。 これまでの下位モデルには左側に2つのThunderboltポートしかなく、右側に周辺機器を配置する際にはケーブルレイアウトに工夫が必要だったが、今回からすべてのモデルで左側に2つ、右側に1つ、合計で3つのThunderboltポートを搭載している。M4 ProもしくはM4 Maxモデルは12Gb/sのThunderbolt 5になる点にも注目だ。 バッテリー駆動時間も向上し、M4モデルのMacBook Pro(14インチ)とM4 Plus/M4 MaxモデルのMacBook Pro(16インチ)では最大24時間と最長になった(それ以外のモデルでも22時間)。 新しくなったMacBook Proも発表当日の10月31日から予約を開始し、来週11月8日から発売だ。価格は248,800円からとなっている。 ■すべてはApple Intelligenceのため? 本格化するアップルの“人工知能押し” 今回の発表を一言で表すと、アップルが提供するパーソナルインテリジェンスシステム「Apple Intelligence」の為に行った底上げだ。3日間にわたって発表したビデオ内容を見ると、どれもApple Intelligenceのために設計した点を強くアピールしている。 Macに関してはM1以降のデバイスであればApple Intelligenceに対応するとアップルはアナウンスしているが、今回の発表内容からするとApple Intelligenceをストレスなく使うにはM4シリーズと16GBのメモリが推奨スペックにあたるのでは、と考えてしまう。今回はM4化されなかった『MacBook Air』だが、発表の最後に標準メモリを従来の8GBから16GBに増やしたアナウンスがあったことを考えると、あながち16GB推奨なのは間違っていないのかもしれない。 Apple Intelligenceが日本語で使えるようになるのは来年以降とまだ先だが、すべての機能を最大限に利用したいなら、これを機に買い換えを検討するのも良い時期なのかもしれない。
松山茂