セレッソを単年赤字に転落させたフォルラン投資ミス
2014年度のJクラブの個別経営情報が22日にJリーグから開示され、3月決算の柏レイソル、ジュビロ磐田、YSCC横浜(J3)を除く48クラブの決算が明らかになった。 J1及びJ2で債務超過に陥っているクラブが初めてゼロになった一方で、ベガルタ仙台、ヴァンフォーレ甲府、サガン鳥栖など8つのクラブが単年度赤字を計上している。そのなかでも、セレッソ大阪が計上した9000万円の単年度赤字は他のクラブとは性質が大きく異なっている。 2013年度決算と比較すると、セレッソの営業収益は4億9800万円増の37億1100万円だったのに対して、営業費用が6億5800万円増の38億5900万円を計上。4シーズンぶりに赤字へ転落した。 営業費用のなかで最多となる約43.5%、金額にして16億8000万円を占めているのがチーム人件費となる。2013年度のチーム人件費は12億1200万円。4億6800万円もの伸び幅は、昨シーズンにJ1を戦ったクラブの追随をまったく許さない。 あらためて言及するまでもなく、チーム人件費を急騰させたのは推定年俸が6億円とされるスーパースター、元ウルグアイ代表のFWディエゴ・フォルランの獲得に起因している。 もちろんセレッソ側も、2013年シーズンから続いていた「セレ女ブーム」と「W杯得点王獲得」の相乗効果で、フォルランの年俸分を十分にペイできるとソロバンを弾いていた。フォルラン獲得に奔走した岡野雅夫前社長は、自信満々にこう語っていたほどだ。 「経営は『期待』ではできません。『確信』を持ってやらないと」 具体的には入場料収入のアップを見込んで、ヤンマースタジアム長居(収容人員4万7000人)と金鳥スタジアム(同2万5000人)の使用比率を反転させた。リーグ戦だけを見ると、2013年は8試合だったヤンマースタジアム長居での試合を、2014年には50%増の12試合に増やしている。 ホームにおけるリーグ戦とナビスコカップ、ACLを合わせた公式戦の観客動員目標を52万人に設定。2013年から16万人増の数字であり、同時に営業収益において入場料収入が占める割合も20%から30%台へ増やす青写真を描いていた。