V・ファーレン長崎 終盤5連勝の原動力、MF名倉巧 より貪欲にゴール狙う
J2リーグの終盤戦を5連勝で終えたV・ファーレン長崎。原動力の一人となったのが、MF名倉巧(26)だ。前線から献身的な動きで守備のスイッチを入れ、攻撃に切り替わるといち早くスペースを見つけて前線と中盤のつなぎ役となる。チームの活性化に欠かせない存在となった。 苦しいシーズンだった。開幕先発を勝ち取ったが、第1節から引き分け、負け。2試合続けて白星に恵まれなかった。先発を外れた第3節以降は一転、チームが22戦無敗を記録。途中出場の機会はあったものの、時間が限られた。チームの躍進を喜ぶ一方で、一選手としては悔しさも少なからずあった。 その状況で「自分なら、どう貢献できるか」をひたすら考えた。「中盤が間延びしない位置取り」「3トップとの連係」「後ろが取りやすい守備の行き方」-。ピッチに立ったときにどんなプレーをすればいいか。常に想像しながら日々の練習に取り組んだ。 新本拠地「ピーススタジアム」の初戦となった10月6日の第34節大分戦。前線の守備を強化する目的で、32試合ぶりの先発を任された。守備時は2トップに入り、相方のマテウス・ジェズス(27)との距離感を意識して、相手のパスコースを限定。積極的に寄せて前を向かせない強さも見せた。セカンドボールを回収して攻撃に転じると、前線に顔を出して果敢にシュートも放った。ゴールこそ奪えなかったが、4-1の快勝に貢献。下平隆宏監督(52)も「気が利いて、サポートも早い。貢献度はかなり高い」と評価した。再び先発の座をつかみとった。 以降、左サイドの笠柳翼(21)、米田隼也(29)と連係して相手の守備を崩すシーンも増えた。3人でLINE(ライン)グループをつくり、海外サッカーや自分たちの試合の動画を共有。意見を交わしながら、互いにいいイメージを膨らませて試合に臨む。「(第37節)千葉戦はいい動きができた。3人で相手を惑わせることで、誰かがフリーになれている」と手応えをつかんでいる。 終盤5試合で1得点2アシストと結果もついてきたが、勝負はこれから。「プレーオフ(PO)はマテウスなど外国籍の選手に厳しいマークがつくかもしれない。そこで自分らが点を決めれば、チームの勝つ確率が上がる」。より貪欲にゴールを狙うつもりだ。 PO準決勝の相手は、2022年に期限付き移籍した仙台。古巣との対戦に気持ちは高ぶる。「正々堂々、真っ向勝負でV長崎が勝つ」。背番号14が7季ぶりのJ1昇格に導く。