子育てで「イライラが抑えられない…」心理学から考える怒りのメカニズムと「親子でハッピーになる」対処法と関わり方
子育て中のイライラを少しでも手放すために何ができる?
子育て中に感じるイライラをゼロにはできなくても、自身の考え方やお子さまへの関わり方を少し見直してみることで、怒りを軽減することは可能です。 乾先生と村中先生に、具体的なコツを伺いました。 【「親友だったら同じ話し方をする?」と考えてみる】 乾先生のおすすめは、イライラを子どもにぶつけそうになった時に「もしこの子が自分の親友だったら、同じ言い方をする?」と自分に問いかけてみること。 「親友に対しては、相手の意思を尊重して自分の考え方を押し付けることはないはずです。我が子に対しても、相手をリスペクトする姿勢は大切だと感じます」 【「思い込み」を問い直し、子どもと一緒にルールを決める】 村中先生は、「自分が無意識のうちに決めたルールを問い直してみること」を提案。 「たとえば子どもが部屋を散らかしっぱなしにしてイライラを感じる時、『どのくらい片づいていればOKか』は保護者のかたが決めた基準であり、お子さまとその基準を共有できていないことが多いと思います。そこで私がおすすめしたいのは家族会議です。部屋の片づけや勉強時間などについて、お子さまと話し合いながらルールを決めるのです。お子さまが小学校低学年のうちは、保護者側からいくつか条件を提示して、その中からお子さまに選ばせてもよいでしょう。そのうえで『ルールを守れなければ叱らなきゃいけないからね』と予告しておきます。こうするとお子さまも、『ルール決定に自分の意見も反映されている』と納得感があるはずです」 さらに乾先生は、「ルールを守れたら子どもをほめることも大切」と強調します。 「たとえば『電車に乗っている30分間は静かにしていようね』と決めたとして、15分間静かにできたら、そこはしっかりほめてあげましょう。そのくり返しがお子さまの自己肯定感の向上につながります」
【イライラの「前さばき」を意識する】 事前にルールを決めておくことも含めて、イライラを感じそうなことを事前に予測し、対応策を打っておくことを、村中先生は《前さばき》と呼んでいます。 「たとえば、『15分じっとして話を聞くのは難しそうだから、15分後に怒ってしまうかも』など、どんな時にイライラしそうかを予測してみてください。そして、どうすれば怒りを爆発させずに済むか、対処法をお子さまに伝えたり、一緒に考えたりしてみましょう。こうした《前さばき》をどんどん取り入れ、積み重ねるうちに、イライラを感じる場面も少しずつ減っていくと期待できます」 【つらい時は子どもに打ち明けてみる】 保護者のかた自身の心身が疲れていると、お子さまを含むご家族に優しく接するのが難しいこともありますね。 乾先生は、「つらい状況を子どもに正直に打ち明けるのもよいのでは」と提案します。 「保護者のかたも人間ですから、体調が悪いこともあれば、ハプニングがいろいろ重なって混乱している時もありますよね。そんな時は無理せず、『パパちょっと疲れてるから、少し休んできてもいいかな?』『ママ、今手が離せないからお手伝いを頼んでもいい?』などとお子さまを頼ってみてもよいのではないでしょうか。きっと理解してくれると思います。それにお子さま自身も、家族の役に立てている実感を得ることができてうれしいと思うはずです」 【「伝え方」を変える】 村中先生は「子どもにイライラをぶつけたくなる気持ちはよくわかる」と肯定したうえで、ぶつけ方として「I(アイ)メッセージで伝える」ことをすすめてくださいました。 「たとえば部屋が散らかっている時、『部屋を片付けるって約束したのに、どうしてやっていないの?』と責めるのは、『私が決めた正義を守らないあなたが悪い』という権力者の伝え方です。一方で『部屋が片付いてないとお母さんがつらいから片付けて』は、保護者のかた自身を主語とする話し方で、《Iメッセージ》と呼ばれます。 伝えたい内容は同じですが、Iメッセージに変換することで保護者のかたと子どもの立場は対等になるため、お子さまも受け入れやすいかもしれません。私自身も、『イライラしても、せめて権力者の座からは降りて話そう』と心がけています」