子育てで「イライラが抑えられない…」心理学から考える怒りのメカニズムと「親子でハッピーになる」対処法と関わり方
こんな時についイライラ……みんなの体験談
ここで、ベネッセが実施したアンケートの結果をご紹介しましょう。 小・中・高校生のお子さまがいらっしゃる保護者のかた約400名が回答したアンケートでは、「子育て中、どんな時にイライラを感じますか?」と質問を投げかけてみました。 特に挙げた人が多かったのが以下の4項目でした。 (体験談) 「〇時になったら宿題をしようね」と子どもと話し合って決めたのに、いざ約束の時間になってもダラダラしているだけで……。イライラしてつい怒ってしまいます。 (神奈川県・アッキャンさん 第1子は小学3年生) 持ち帰りの仕事が山積みな時に、子どもが入浴中に体を洗おうとしないので「寝かし付けの時間が遅くなる……」とイライラして、つい叱ってしまいました。 (岡山県・たかしさん 第1子は小学4年生) 寝付きが悪く、眠りも浅い子だったので、こちらも寝不足が続いてイライラ。優しく寝かし付けることができず、当時は自己嫌悪に陥る日々が続きました。 (奈良県・beniさん 第1子は小学4年生) この結果を見て村中先生は、「『子どもが思いどおりに行動してくれない』以外の項目は、大まかにまとめてしまうと『保護者のかた自身がつらい』ということですね」と指摘。 「子どもが思いどおりに行動してくれない」時にイライラするのは、村中先生のお話から考えても自然なこと。 ただ、保護者のかたが体調不良や多忙などのために、余裕がないとイライラをうまくさばききれないのかもしれません。 ※2023年11月に行った「保護者のかた向けアンケート」(393人回答)に寄せられた体験談をもとに作成。
もしイライラをぶつけ続けたら、子どもにどんな影響がある?
イライラして怒ってしまった時、「子どもによくない影響があるのでは……」と気になる保護者のかたもいらっしゃるのではないでしょうか。 「叱る機会が増えると、お子さまは大人の言い付けをよく守るようになるかもしれません。なぜならお子さまにとって保護者のかたは、絶対的な権力者だからです。しかし大人が叱れば叱るほど、子どもは自ら考えたり学んだりする機会を失うことになります。子どもは『何が悪かったのかわからないけれど、叱られるのは怖いから言い付けを守ろう』と考えるからです」(村中先生) 「叱られて行動するようになると、『言われたとおりにしたのにうまくいかなかった』時に、子どもの中に不満がたまっていくのも心配なところです。自分で決めて行動すれば、失敗しても納得感がありますよね」(乾先生) 加えて懸念されるのは、「子どもが自己効力感を持てなくなること」と村中先生は説明します。 「叱られ続けていると子どもは、心理学用語でいう《学習性無力感》を得てしまいます。私は『チャンスの扉を開けられなくなる』という表現をよく使うのですが、無力化されてしまった子どもたちは、目の前にさまざまなチャンスが用意されていても、どうせ無理だとあきらめてしまって、自ら行動を起こせなくなってしまうのです」