32歳でパニック障害を発症したベアーズ創業者。それでも事業を拡大できたのは…家事代行サービスのパイオニアが実践した<2つの戦略>
東京都の発表によると、2024年1月時点で従業員30人以上の都内企業のテレワーク実施率は約41%だそう。新型コロナウイルス感染症の蔓延によって、急速にテレワークが普及しました。そのようななか「家での食事回数も掃除の頻度も増え、『家事を手伝ってほしい』という需要が高まりました」と語るのは、株式会社ベアーズ取締役副社長・高橋ゆきさん(「高」は正しくは「はしごだか」)。高橋さんいわく、「家事代行サービスとハウスクリーニングの違いを理解しないまま書いた記事が新聞に掲載されることもあった」そうで――。 【書影】自分らしい生き方を手に入れるために役立つ考え方をアドバイス。高橋ゆき『ウェルビーイング・シンキング』 * * * * * * * ◆パニック障害を発症 ベアーズは稼働をはじめましたが、家事代行サービスの事業が軌道に乗るまでには当然、時間がかかります。その間も、なんとかベアーズの諸経費と高橋家の家計と両親への仕送りを捻出しなくてはなりません。 ある時、私は夫から「ゆき、ちょっと“出稼ぎ”に行ってくれないか」と言われ、経費や家計にあてるお給料を稼ぐため、ITベンチャー企業に勤めはじめました。 そこからの私は必死でした。私が倒れたら、ベアーズも家族も生きていけません。 そのITベンチャーは、四半期ごとの成果によって、次の期のお給料が決まるシステムだったので、なんとか自分の評価を高くしなくてはいけないと気を張っていました。役員秘書兼広報室長を務め、さらに海外事業本部で米国サンノゼのオフィスオープンを担当するという具合に、いくつもの仕事を掛け持ちました。 2歳と0歳の子どもを抱え、無理を押して働いているうちに心も身体も限界を超えてしまったのでしょう。 30歳の時、パニック障害を発症しました。何をやろうとしても気力が出ず、食欲も全くありません。緊張を強いられる場では動悸(どうき)が激しくなり、フラフラして呼吸が苦しくなります。 それでも、「自分に限って病気になることはない」「私はそんなに弱くないはず」と奮い立たせ、だましだまし仕事を続けていました。 ついに32歳の時、倒れてそのまま入院しました。心臓の不整脈と下痢が止まらず、帯状疱疹(ほうしん)になり、急性肺炎も併発し、心身の機能がこわれてしまったのです。 実は、この時に患ったパニック障害は、今も完治していません。うまくコントロールしながら病気と付き合っています。 自分のバイオリズムを把握し、頑張り過ぎないよう、エネルギーを配分したり、「これをしてはいけない」ということに気を遣ったりもしています。
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