60代の親の本音は「子どもと同居したくない、でも近くには住みたい」。老後、子どもとのいい距離感とは?
「令和5年簡易生命表の概況」によると、2023年の平均寿命は、男性81.09年、女性87.14年と、前年と比較しても男性は0.04年、女性は0.05年延びており、今更ですが、日本の高齢化が実感できます。65歳時点の平均余命では、男性19.52年、女性24.38年ですから、今回のケースの相談者、60歳代ということであれば、さらに20年ほどのライフプランを考える必要がある世代となります。 寿命期間を「元気で過ごす」ことはとても難しいことです。生活するために子どもと同居、もしくは近くに住むことは、生活支援や金銭面などでは助かりますが、離れていたときには気づかなかったトラブルが顕在化する可能性はあります。どうすれば気持ちのいい子どもとの付き合いができるのかを考えてみましょう。 ▼年金が「月10万円」で老後が不安…持ち家で「貯金」と「退職金」があれば大丈夫? 生活費を試算
生活費のうち「住居費がいくらかかるか」がポイントとなる
総務省の「令和4年家計調査」によると、65歳以上の単身者世帯の実収入は13万4915円。一方、保険料などの非消費支出は1万2356円、消費支出は14万3139円ですから、月々2万580円の不足金額が発生していることが読み取れます。 人によって年金額は異なりますから、これよりも年金額が少なければ不足分はさらに積みあがり、貯蓄を取り崩していきながら生活することとなります。もし子どもと同居するのであれば、食費や水道光熱費などの助け合える費用もたくさんありますから、さらに節約できる可能性があります。 では、「近くに住むこと」でどのように生活費が変わるでしょうか。もし、持ち家なら家賃は不要ですが、継続的に固定資産税や修繕費、火災保険料や地震保険料がかかります。一方、近くに賃貸住宅を借りて引っ越す場合、引っ越し代や敷金・礼金、さらに家賃、損害保険料などがかかります。 ここで、先ほどの家計調査を見てみると、住居費として計上されている金額は1万2746円です。あくまでも平均値ですので実際の数値とは異なるでしょうが、参考にはなるでしょう。結果、金銭面では、同居するよりも引っ越すほうはかなりの負担増となるでしょう。 今後、子どもの近くに住むということを想定するのであれば、将来的な住居費を計算することは大切なポイントとなります。