石破政権発足2カ月、危機打開のカギは“原点回帰” 「謙虚な姿勢」で国民民主取り込みに腐心
第216臨時国会が11月28日に召集され、翌29日の石破茂首相の所信表明演説に対する各党代表質問が4日、終了した。「10・27衆院選」での与党過半数割れを受けての初の与野党本格論戦で、石破首相は「謙虚な姿勢」や「誠実な対応」を繰り返す一方、いわゆる「103万円の壁」引き上げを求める国民民主党に“秋波”を送ることで、野党が主導権を握るいわゆる“宙づり国会”での政権危機打開を目指す姿勢をにじませた。
臨時国会の当初会期は12月21日までの24日間と短く、山積する政治課題への十分な対応は極めて困難だ。その中で政府与党は、13兆9000万円規模の超大型補正予算の会期内成立を最優先課題とするが、それと並ぶ重要課題となる、自民党の巨額裏金事件に端を発した「政治と金」を巡る政治資金規正法再改正での与野党協議は難航必至。 国民民主が執着する「壁」問題の“円満決着”と、限られた会期内で政治改革再改正のための関連法案処理をどこまで実現できるかが、今後の石破政権の命運を占う試金石となるとみられる。
■「石橋演説」引用で“石破色”アピール 石破首相は11月29日午後、衆参両院で行った所信表明演説で、衆院選での自民、公明両党敗北によって「少数与党」となったことを踏まえ、野党の意見に丁寧に耳を傾ける「謙虚な姿勢」を強調。その一方、自らが敬愛する故石橋湛山元首相の国会演説を引用したり、就任後約2カ月間の外交面での成果に触れるなど「石破カラー」アピールにも腐心した。 まず石破首相は、「先般の選挙で示された国民の声を踏まえ、他党にも丁寧に意見を聞き、可能な限り幅広い合意形成が図られるよう真摯(しんし)に、謙虚に取り組む」などと野党との丁寧な協議に努める姿勢を繰り返した。
特に、演説の冒頭で、1957年の通常国会で行われた石橋内閣の施政方針演説から「力を合わせるべきことについては相互に協力を惜しまず、世界の進運に伍(ご)していくようにしなければならない」を引用。それを踏まえ「民主主義のあるべき姿とは、多様な国民の声を反映した各党派が真摯に政策を協議し、よりよい成案を得ることだ」と力説、さらに「結語」でも石橋氏の言葉を踏まえ「国民ならびに全国民を代表する国会議員のご理解とご協力をお願いする」と低姿勢での対応を強調した。