ダルビッシュ、『間』と『タイミング』制して大谷翔平封じ…「あんなこと経験したことがない」ドジャースファン大荒れの異常事態にも冷静
◇6日(日本時間7日) ナ・リーグ地区シリーズ第2戦 ドジャース2―10パドレス(ロサンゼルス) ◆パドレス選手とにらみあうドジャースファン【写真複数】 パドレスのダルビッシュ有投手が先発し、7イニング3安打1失点で自身ポストシーズン5勝目(6敗)を飾った。注目されたドジャース・大谷翔平選手との対戦は3打数無安打と封じ込めた。 ダルビッシュにとって、科せられた一つの使命は”大谷封じ”だろう。前夜、同点3ランでスタジアムの雰囲気を一変させた背番号17を乗せれば、宿敵に一気に飲み込まれる。38歳は熟練の技と経験値で、「史上最強打者」をかわした。 「セットに入ってから長く持ってとか、足上げてからゆっくりいったりとか。工夫した」という。大谷を心地よい間合いにさせず、タイミングを外し崩す。一定のペースで投げないことで、大谷のスイングはぶれた。 全く仕事をさせず、3打席凡退に仕留めた。15球投じた中で、真っすぐはわずか1球。前夜、シースが一発を浴びた高め速球は使わず、低めにスプリット、緩い縦のカーブを軸に集めて、大谷の間合いをつぶした。 以前、ダルビッシュは打者・大谷について「狙い球を決めてすごく打ってくる。この打席はこれを待つとか、このカウントならこれを打つと。頭を使っている感じがする」と話したことがある。この日、ダルビッシュは「一球一球、大谷君の反応を見ながら投げた」。相手の打ち方、しぐさをつぶさに観察しながら球種を選択。相手の頭にない配球を組み立て手玉に取った。 敵地ドジャースタジアムで7イニング1失点の快投。一瞬たりとも隙を見せなかった。7回の投球前にはドジャースファンがパドレス左翼手のプロファーにボールを投げつけ、プロファーが激怒。ファンとパドレス選手がヒートアップし、スタンドから空き缶が投げつけられる異常事態も発生し、試合は9分間中断した。ダルビッシュは「あんなこと経験したことがない」と振り返ったが、集中力を切らすことがなかった。 試合後、主役は「今日起きてからも全く緊張がなかった。なぜなのか分からないが、落ち着いていた。さすがに38歳なのでガチガチに緊張してはいられない」と笑わせた。2年前の地区シリーズ・ドジャース戦でも、ダルビッシュが第2戦で勝って勢いに乗ってシリーズを制した。今回はその登板を上回る快投。負ければ崖っぷちの試合で、酸いも甘いも知る男がタイに持ち込み、熱狂的なファンが待つホームに戻る。
中日スポーツ