ヤクルトの村上は魅力十分。規格外の存在になってほしいわ【岡田彰布のそらそうよ】
打率が最低でも打点2位。とんでもない魅力があるよ
村上はレフト方向に流すのではなく「打って」いくバッティングで30本塁打を超えた。あの打撃の魅力は十分にある、本当にすごい打者が出てきたわ/写真=BBM
今から39年も前のことになる。1980年シーズン、オレはルーキーやった。ご存じのとおりいろいろあって、シーズン序盤はほとんど出場することはなかった。ところが5月中旬から事態は激変する。監督がシーズン途中で代わり、オレはそこからゲームに出続けることになる。 その結果……。セ・リーグの新人王に選ばれた。当時他球団にはライバルはいなかったように記憶している。パ・リーグの新人王は日本ハムの木田(木田勇)さん。とにかくスゴいピッチャーやった。投手部門のタイトルを総ナメし、文句なしの新人王。対してオレは、そこまでの成績は残せなかったけど、それなりに満足できる受賞やった。 プロ野球選手にとって、たった一度のチャンスよ。ルーキーの誰もが、まず「新人王を」と祈る。そのチャンスをモノにして、やっぱり自信になった。オレはこれでプロでやっていける……と感じたものよ。 あれから40年近く。2019年度のセ・リーグの新人王は当初、阪神・近本(近本光司)、DeNA・上茶谷(上茶谷大河)などの争いか……と思われていたところに、とんでもない若者が出現した。それがヤクルトの村上(村上宗隆)よ。彼は高卒2年目。しかし新人王の有資格者である。 スポーツ新聞の打撃全成績表を見てみる。規定打席に達している選手の記録だが、9月1日現在、セ・リーグの打撃部門の最低打率にいるのが、.228の村上なのだ。さらに三振数が164で、両リーグで最多。おまけに失策数が15で、これも両リーグで2番目に多い(1位は阪神・大山悠輔の17)。 それなのに新人王のダークホースから本命に一気に躍り出た。この対照的な事象こそが村上の底知れぬ魅力。オレはそう理解し・・・
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週刊ベースボール