1ドル157円台への急反落は「今年3度目の為替介入」か…いよいよ近づいてきた、投機筋による〈円売り戦略〉終焉の可能性【国際金融アナリストの考察】
今週の注目点=ポジション調整と米景気の減速
7月に入って発表された米経済指標は、ISM(米供給管理協会)の製造業および非製造業の景気指数、雇用統計など予想より弱い結果が目立ち、米景気の減速との受け止め方が広がりました。それに加えて、先週11日に発表された米6月CPI(消費者物価指数)が予想より弱い結果だったことから、インフレへの懸念も一段と後退し、早ければ、9月に最初の利下げの可能性も浮上しており、早期利下げへの期待が広がってきました。 私は、景気の先行指標の1つである、米国の主要な株価指数が軒並み最高値圏で推移するなかで、「物価の番人」ともいうべきFRB(米連邦準備制度理事会)が、利下げを急ぐことには懐疑的です。ただし、米景気が緩やかな減速に向かい始めた可能性は高そうなので、その意味では、早期の利下げとは別に、米金利の上昇は、限られるようになってきたと考えています。 今週は、米6月小売売上高などの発表が予定されていますが、これらを受けて、米景気の減速という見方が大きく変わらないようであれば、米金利上昇にともなう米ドル高・円安も、限られたものになるのではないでしょうか。 以上より、今週の米ドル/円の上昇余地は限られ、すでに述べてきたように、ポジション調整次第で、米ドル安・円高にどこまで戻すかが、焦点になると考えられます。今週の米ドル/円の予想レンジは、155~160円で想定します。 吉田 恒 マネックス証券 チーフ・FXコンサルタント兼マネックス・ユニバーシティFX学長 ※本連載に記載された情報に関しては万全を期していますが、内容を保証するものではありません。また、本連載の内容は筆者の個人的な見解を示したものであり、筆者が所属する機関、組織、グループ等の意見を反映したものではありません。本連載の情報を利用した結果による損害、損失についても、筆者ならびに本連載制作関係者は一切の責任を負いません。投資の判断はご自身の責任でお願いいたします。
吉田 恒