「体が動くならずっとサッカーをしていたい」元日本代表・福西崇史さんが中村憲剛選手の天皇杯ラストマッチを通して語るアスリートの宿命
引退を意識する時
――引退ってどのように意識するものでしょうか? 福西さん: 突然来るという人もいると思います。 チームがなくて辞めざるを得ない人もたくさんいますし。 これがプロの世界って言われればそれまでなんですけれども、引退を考えるっていう事をシーズン中にするのか。 ベテランって言われている選手は経験の中で差を埋めていくことはできますけど、それが出来なくなってどんどん差が離れていくと、イメージ通りに体が動かないとか、プロの選手としては身を引く時なのかなっていうのは出てくると思います。 中村憲剛選手も現役を5年間伸ばしたとかね。 自分が成長したらやっぱりやりたくなる気持ちも分かるし、逆にけがをして5年やろうと思っていたけどできなかったっていうのもあるし。 僕も最初はもっともっとやるつもりでいましたけど、こういう選択になったっていうのもありますし。選手にとっていろいろ考えているところではあると思います。
引退の決断
――ご自身はいつ頃から引退について考えましたか? 福西さん: 引退の決断は結構かかりました。 次の仕事は何をするのかとか、次の人生どういう目標を持っていくのかっていうのもありますし。 まだまだサッカーがしたいっていう思いもあるし、そういうところの決断は非常に難しかったです。
引退後に変わったこと
――引退後、何が変わりましたか? 福西さん: いや、もう生活ですよ。 コンディションを維持しなくてもいいっていうか、現役時代は休みもサッカーのために休むので、食事にしろ睡眠にしろ、することサッカーのためでしたから。 好きなもの食べられるとか、ちょっと寝なくてもいいかなとか、いろんなことがまたできることもあるし。 寂しいなっていうのもあるし。
もし現役に戻れるとしたら何が欲しい?
――もしもう一度、現役に戻れるとしたら何があればよいですか? 福西さん: もう体だけですね。 体が動くならサッカーしたいです。ずっと死ぬまで。 Jリーガーでけががない人なんかいないですし。 体が持つ限りはやりたいっていう思いでも体は持たないし、パフォーマンスはやっぱり落ちていくので、若い選手に敵わないとか、違う選手がどんどん出てくる中で、自分が必要とされてないとなっていきますから動く体は欲しい。それがあればまた現役もやりたいなと思います。