“黄金の国ジパング”金山開発に揺れるマチ 外国資本が金の試掘調査を計画 住民から反発も 北海道
明治時代に発見された「静狩金山」
(青柳記者)「こちらの採石場跡地周辺が重要な調査地点の一つとみられます」 長万部町の静狩地区にある採石場の跡地です。 かつて、この周辺には静狩金山がありました。
静狩金山は明治時代に発見され、戦前の金の産出量は5089キロと全国9位の産出量を誇っていました。 調査のエリアに隣接する森塚さんの牧場です。 牧場の中を流れる幌加朱太川は、牛の水飲み場になっています。 森塚さんは、鉱毒で川が汚染されたり水が枯れたりするのではないかと、掘削の中止を求めています。
地元の住民は環境への影響を懸念
(森塚千絵さん)「ここに流れている水というのは本当にきれいなんですよ。それがもしかしたら枯れてしまうとか、鉱毒で使えなくなってしまうというのは絶対的にダメというのがありました。この環境を乱してほしくないということで、黒松内・長万部の静狩地区には入ってほしくない」 調査エリアの近くには幌加朱太川のほか、道内有数の清流として知られる朱太川が流れます。 (千葉進さん)「天然遡上だからねここは。放流は一切していない。朱太のアユはほかのアユより身は締まってるし香りはいいし」
アユ釣りが解禁となったこの時期、朱太川漁協の千葉進さんは、釣り上げたアユを客に販売しています。 掘削調査の説明会に参加しましたが、不安をぬぐい切れませんでした。 (記者)「企業側は有毒なもの出さないと言っていましたが」 (千葉進さん)「全く不安ですよそういうことは。いくら出さない出さないと言っても出るんですよ。それだけは本当にやめてもらいたいね」
掘削調査の説明会でも、オースラリア企業の説明に住民から反対の声が相次ぎました。 (説明会出席者)「何言ってるかわからないね!!」 (説明会出席者)「黒松内町及びその近隣での試掘、あるいは採掘は一切やめていただきたいと私は思います」 黒松内町の鎌田町長は、環境への影響を懸念しています。
(黒松内町 鎌田満町長)「率直に言うと、自然環境とかの影響は本当にないのかどうかというのが一番の我々の関心事ですし、どちらかというと不安感の方が強いと言ってもいいと思います。川ということに関しては非常にデリケートな問題として受け止めていると思います」 一方、静狩金山があった長万部町には、にぎわっていた時代の資料が保管されています。 およそ2000人の従業員が働き「金湧く静狩」と呼ばれていたといいます。