【バレー】助っ人はサッカーのゴールキーパー!? 3年生7名だけの大衡中男子が過ごした夏/追憶の福井全中〔前編〕
新人戦に出られない!? 声をかけた相手は美術部員のゴールキーパー
髙橋キャプテンやセッターの和野翔は、部活動と並行して地元のクラブチーム「INSISTCLEAN」で活動するなど、個人の裁量で競技に取り組むことはできた。だが、クラブチームでの大会の兼ね合いで、髙橋凌玖が11月に行われる県の新人大会に参加できなくなった。このままでは1チームを編成することもままならない。そこで部員たちが声をかけたのが、当時は美術部に所属していた鈴木輝だった。 「何かしら役に立てたらな、というぐらいの気持ちでした。バレーボールはいっさいやったことがなくて、ルールも少しだけ。試合ではボールを拾う場面もありましたが、ほんとうにコートに入っただけでした」 そう明かす鈴木自身は学校以外ではクラブチームでサッカーに励んでおり、そちらではゴールキーパーを務めている。「反射神経の面はバレーボールに生かされたかもしれません」と言い、新人大会に出場したのちに美術部からバレーボール部へと籍を移した。 これには髙橋キャプテンも「いちばん大きなポイントでした。レシーブが苦手なメンバーが弱点になっていたので、誰かほしいなと思っていたところに彼(鈴木)が入ってくれたんです。みんなも彼がレベルアップしていく姿を見て、『これ、いけるんじゃない?』と思いましたから」とほほえむ。サッカーではゴールを守るキーパー、バレーボールではフロアを守るリベロ。本格的にそのポジションについたのは、夏の選手権大会に臨むころだったというが、“守護神”鈴木の誕生はチームにとって追い風となった。 ≪後編に続く≫ (文・写真/坂口功将)
月刊バレーボール