急増する“身寄りない高齢者” 部屋の賃貸、ごみ処理…どんな困難が? 「納骨」まで公的に支援へ【#みんなのギモン】
■身寄りのない高齢者が直面する問題
近野解説委員 「1人暮らしの高齢者のうち、相談したり頼ったりできる親族などがいない、いわゆる身寄りのない高齢者が直面する問題には、どんなことがあるのでしょうか。1つは、住む部屋の借りにくさです。住まいそのものに問題が生じます」 「高齢者というだけで住まいを借りる上で厳しい実態があります。65歳以上向けの物件を専門に取り扱う不動産会社『R65不動産』の調査によると、賃貸のオーナーつまり大家さんの41.8%が『高齢者の入居を受け入れていない』ということが分かりました」 「そう判断する背景には、『孤独死で事故物件化してしまう懸念がある』ということがあります」 忽滑谷こころアナウンサー 「確かに、貸す側の気持ちに立って考えてみると、リスクの少ない若い方に貸したいという気持ちは分かります。ただ4割はかなり多いですよね。身寄りのない高齢者の方からしたら、かなり大変だろうなという数字ですよね」 近野解説委員 「まさに生活の基盤をどう手に入れるか、一番大事な住まいのところで門前払いされるような現状があるということなんです」
■自治体が実際に行った“難しい”支援
近野解説委員 「身寄りのない高齢者について、日本総合研究所が生活面での問題を調べました。その調査結果では自治体などがこれまで実際に行ってきた支援の中で難しいと感じた割合が高かった事例が挙げられています」 「生活支援の場では、遺族年金を受給するための書類作成の支援や、銀行に同行して振り込みを支援すること。入退院では、着替えや入れ歯など入院中に必要な物を届けること、救急車に同乗して病院に行くこと、治療方法の意思決定に関わることなどがあります」 「施設などへの入所・入居では、それまで住んでいた家のごみの処分が大変だったということです。自治体が苦慮している実情があり、裏を返せば、こういった身寄りのない高齢者はさまざまな事柄に困っているということが言えます」
■家族がしてきた支援を誰が担う?
近野解説委員 「他にも入院や入所、引っ越しの時の保証人がいないことも考えられます。死後の遺品整理は誰がやるのかという問題もあります」 「また、生活支援やいわゆる終活などを総合的にサポートする民間のサービス業者も増えていますが、契約金が非常に高額な場合もある上、トラブルもいくつか報告されています。本当に契約を結んだ通りのことが死後になされているかを確認する仕組みもありません」 鈴江アナウンサー 「本人は確認のしようがないですもんね」 近野解説委員 「専門家は、身寄りのない高齢者が増えていることで、これまで家族が行ってきた支援を誰が担うのかという課題に社会全体が直面していると指摘しています」 森圭介アナウンサー 「これまで何十年か前は、1つの家族に3世代がいたりもしました。それが今は核家族になって、どんどん1人暮らしになっていく。家族に頼っていたものというのが、持続できなくなっているということですよね」 近野解説委員 「それがあちこちで起きていますので、これは放置できない社会の問題だということになります」