旗手怜央、ここにあり――久保が躍動し、遠藤が奪いまくって、左サイドが活性化。中盤の最適解を導き出す【アジア杯】
マルチな能力を遺憾なく発揮
こうした中盤の最適解を、森保監督から指示されて見出したのではなく、選手自ら試合展開や相手の出方をピッチ上で見極めつつ、模索していったのも大きかった。 「実は(最初は)4-2-3-1だったんです。ただ、怜央が8番のプレーができるので、4-1-4-1の形にしていくのは準備して、選手たちにも話をしていました。守備時に航がサイドを見なければいけない時には、タケが10番(トップ下)になって、航が8番から6番のスペースを埋めるというのは準備してやりました。 その結果、形としては4-1-4-1になっていたかなと。それが一番ハマりが良かったので。選手たちもしっくりきているなか、我々も修正することなく、流れとバランスを保っていけるように、選手たちのプレーを見ていました」と、指揮官も試合後に説明。旗手という新たなエッセンスを持つMFの特性を尊重しながら、チームが一番機能する形を見出し、実践していくことができたのだという。 その結果、今大会に入ってから一番内容的に良いサッカーができ、上田綺世(フェイエノールト)の2得点と相手のオウンゴールが生まれ、3-1で勝利。自力で2位通過を決めることができた。もちろん本来なら1位通過すべきだったが、勝点3しか得られなかった過去2戦からいち早くリカバリーし、先につなげたことは前向きに受け止めていい。 それもベトナム戦、イラク戦に出ていない面々が新たな活力を与えたのだから、より大きな価値がある。旗手はその象徴的存在。マルチな能力を遺憾なく発揮し、チームの流れを変える役割を担ったことをポジティブに評価していいだろう。 ここから決勝トーナメントの戦いに挑むことになるが、インドネシア戦の形をベースにするのか、それともこれまでの4-2-3-1に戻すのか。陣容を含めて森保監督は頭を悩ませるに違いない。それくらいの選択肢があれば、日本対策を徹底してくる相手にとっても脅威になるはず。そういう意味でも旗手の示したものは大きかったと言っていい。 取材・文●元川悦子(フリーライター)
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