「私の常識」を無意識に押しつける人が言いがちなNGワードとは?
新人編集者が、この道30年以上のベテラン記者に仕事を依頼したときのことです。ベテラン記者ともなれば、政治家とのつながりや専門的な知識を活用し、他の人が聞けない話に切り込んで、自ら記事になるようなネタを編集者に提案する人も多いです。その記者もそういうスタイルを主軸としてお仕事をされていました。 ですので、編集部に入って数カ月の新人編集者に仕事を依頼されることは、あまり良い気持ちがしないのでしょう。やりとりを見ていると、不服そうな態度を取っては「勉強不足だな」とチクリと嫌味を言ったり、語尾がきつくなっていることがよくありました。私は何度もその2人のやりとりを目の当たりにしましたが、新人編集者は、いつも気が重そうで、「あ、あの……お仕事をお願いしたいのですが……」と恐る恐る声をかけている様子でした。 ● チームワークが大事だからこそ 自分の機嫌は自分でとろう 確かに、知識も経験も豊富で、その人だからこそ口を開く政治家や官僚がいることは確かです。でも、編集部は小さくても組織です。チームワークも必要です。
それに、正社員ではない記者は仕事を受注する立場ですから、発注者が新人でもベテランでも関係ありません。自分より経験が浅い編集者から仕事を依頼されることが嫌ならば、その編集部では仕事をしなければいいのです。 それなのに、新人に不機嫌をぶつけ、いつも相手を困らせていたことには、私も見ていて疑問に感じました。次第に、ほかの編集者たちからも「○○さんと仕事をするの、嫌だよ。話したくないよ」という声が漏れ聞こえはじめ、悪い空気がだんだん社内に広がっていくような、嫌な雰囲気が漂っていたのです。 その記者は、取材力は確かですし、人脈もあって、他の人には書けない記事が書けるということで一目置かれていました。でも、新人編集者への態度は、誰から見ても目にあまるものだったのです。 不機嫌さを出すこともほどほどにしないと、人は離れていくものだな、と改めて考えさせられたのでした。 生きていればいろいろなことがあります。不機嫌になることもあります。それは仕方のないこと。でも、不機嫌をそのままぶつけても、相手にも自分にもいいことはありません。無理に機嫌よくすることはありませんが、できる限りフラットに接することができるようにはしたいものです。
山田千穂