いまだ最適解が見いだせない「不登校」問題、“見守り”や“寄り添い”が行き過ぎてより残酷な結果にも…自立支援の課題
新学期や夏休み後など、大型連休明けに増えると言われる不登校。年々増加の一途を辿っていることから、今は「小1の壁」「小4の壁」と同じく、親子で乗り越えるべきハードルのひとつともなっている。そんな悩みを脳科学に基づいた独自のメソッドで解決しているのが「不登校支援サポート スダチ」。平均3週間で相談者の90%を再登校へと導いているこの支援サービスを提供する小川涼太郎氏に、今の時代ならではの不登校の問題点、親や学校・社会がどう取り組みべきか、方法論を聞いた。 【スダチ動画】”得意を伸ばせば自立できる”「その考えマズイです…」不登校の子を持つ親の質問に回答
■子どもを否定してはいけない社会の風潮も「“尊重”と“甘やかし”は違う」
━━文部科学省の発表によると、2022年の小中学校における不登校児童生徒数は前年比22.1%増の29万9048人で、9年連続増加の一途を辿っています。不登校が年々増えている要因は何だと考えられますか? 一番の要因はデジタル機器の普及だと思います。スマホなどのデジタル機器は脳内に快楽物質であるドーパミンを放出させるため、依存症に陥りやすい特性があります。麻薬依存と同じ状況が脳内に起こるので、学校に行こうと思えなくなってしまうのです。実際、不登校で相談に来られる親御さんのほとんどは、お子さんのデジタル機器との付き合い方に悩んでおられます。男の子はゲームが多く、女の子はYouTubeなど動画系に依存する傾向が強い印象です。 ━━メディアで取り上げられるのは、いじめられて不登校になるパターンが多いように思いますが、実際はデジタル機器の依存? 皆さん驚かれる方が多いのですが、いじめが原因での不登校は全体の1%にも満たないのが現状です。いじめの事実が認められた時点で、学校をあげて対処するよう定められていますし、教育委員会を含めた大問題として解決に向かうよう取り組むからです。より深刻で根本的な原因は、スマホやゲーム依存から来る“生活リズムの乱れ”です。 ━━学校への行き渋りが起きたとき、まず、親としてはどのような対応をとるべきなのでしょう。 今、“多様性”という言葉が世界的なキーワードとなり、子どもを否定してはいけないという風潮があります。多くの不登校ケア専門家が「まずは見守りましょう、寄り添いましょう」とアドバイスする。それはもちろんそれは重要な考え方ですし、「子どもの話を聞く」ことは大切です。しかし、「学校に行かないで1日中ゲームをしていたい」ということも聞くべきなのか。“尊重”と“甘やかし”は違います。ダメなことはダメと言う、いわゆる躾を行うことは子育ての大変重要な要素です。子どもの好き放題を許していると、子どもは親に対して尊敬の感情を抱かなくなります。親を尊敬できなければ、子どもは「親の言うことを聞く必要はない」と判断する。正しい親子関係を築くことが難しくなっていると相談を受けることが増えているのも現代の特徴かもしれません。 ━━親子関係を築くことが難しい背景として感じられることは? 現代の親御さんは、核家族で、子育てを手伝ってくれたり、アドバイスをくれる祖父母も近くにおらず、いわば上司がいない環境で一人で仕事をしている状況です。ただ、先にも申し上げたとおり、学校を休んで、ゲームや動画を見続けている状態を放っておくことは、家でずっと麻薬を打ち続けているのと同じです。確実にスマホ依存は加速して、学校に行けなくなり、親子関係は逆転してしまいます。そうして何年も時が経って、もうどうしようもない状態になって我々の元へ相談に来られるというのはよくある流れです。