【沸騰化時代の処方箋】環境問題解決への近道は“子どもの教育” 暗闇の街が「世界のお手本」になるまで
自然と触れ合うこと以外にも、子どもへの教育として取り組んでいることがありました。学校に戻ると、子どもたちが見せてくれたのはビリヤード台。実はイー市では、学校で無駄なエネルギーが使われていないかを子どもたちがチェックし、削減できた分は市からお金がもらえるのです。ビリヤード台は、そのお金で購入したもの。
欲しいものがもらえるとなると、子どもたちも必死です。校内で無駄を見つけると「先生! この部屋はエネルギーを使いすぎてるよ!」「誰もいないのに部屋の電気とプロジェクターがつけっぱなし」「先生がつけっぱなしにしたのが良くなかった」と、子どもたちのほうから率先して報告していました。 この取り組みは約10年前からイー市内全ての幼稚園と小中学校で行われていて、毎年、一番削減できた学校に賞状が贈られています。この小学校では毎年35万円ほど支給されているといいます。 マルヤ ノウシアイネン校長: 「子どもたちが学校で節電や節水を学ぶことによって、それを家でもやります。そうするとお母さんやお父さんにも影響があり、とても良い循環を生んでいるんです」
ノウシアイネン校長が言うように、こうした子どもたちへの教育は、家庭にも良い影響を与えているようです。イー市で暮らす6人家族の母・カイサ ルオスタリネンさんは「必要のない電気を消すことを子どもたちが学校から学んできて、家でもそれが習慣になりました」と話します。子どもへの環境教育が大人へと浸透し、地域全体に良い循環が生まれていました。
今では世界中から手本にされているイー市。そんな街の市長に、環境問題の解決に向けて大事にしていることを教えてもらいました。 イー市 マルユッカ マンニネン市長: 「子どもたちに“もったいない”ということを教えていくことが一番大事な事だと思っています。その教育が二酸化炭素を減らす近道です。子どもたちが学ぶことが未来につながっていくんです」