「デビュー当時はまったくウケなかった」人気急上昇中お笑いコンビ・空気階段、“虫扱い”からの飛躍
『キングオブコント』では2年連続の決勝進出を果たし、実力派のコント芸人として注目されている空気階段。哀愁漂う叙情的なコントでじわじわとファンを増やしており、今年2月に行われた単独ライブの配信チケットは1万枚を超える売り上げを記録した。すっかり人気者となった彼らは、いかにして現在の地位に上り詰めたのか。(取材・文:ラリー遠田/撮影:殿村誠士/Yahoo!ニュース オリジナル 特集編集部)
吉本興業のお笑い養成所「NSC東京」の同期である水川かたまりと鈴木もぐらの2人によって、2012年に空気階段は結成された。若手芸人向けの劇場「ヨシモト∞ホール」を拠点に活動していたが、最初は全く芽が出なかった。外見も芸風も地味な彼らのネタは、若い女性中心の客層には刺さらなかった。 「やっぱりみんなキラキラしたものを見に来ているわけですよ。ドロップの缶を振って、どんなきれいな色の飴が出てくるのかなと思っていたら、虫が出てきたみたいな。僕らは『食べたらうまいと思うんで食べてみてください』っていう気分だったんですけど」(もぐら) 「そんなつもりで来てないよ、って思われていたんでしょうね。全くウケないし人気もないから一時期は本当に悩んでいて、いっそのこと(爆笑問題などが在籍する)タイタンに移籍しようかと考えたりもしました」(かたまり) 「タイタンもそんな簡単に行ける事務所じゃないんだよ!」(もぐら)
彼らがデビューした当時はお笑い番組がほとんどなく、無名の若手芸人がテレビに出る機会は限られていた。 「ネタ番組が1本もなかったですからね。NSCの人にも『テレビに出ようと思うなら芸人はやめたほうがいい』と言われていました」(もぐら) それでも、八方塞がりの状況でネタを磨き続けているうちに、彼らへの注目は高まっていく。2016年と2017年には『マイナビ Laughter Night』でグランドチャンピオンに輝いた。2018年の年末には『有吉のお饅頭がもらえる演芸会』『朝まであらびき団SP あら1グランプリ2018』などのネタ番組でコントを披露して、若手の有望株として頭角を現し始めた。 「その2つのネタ番組が大きかったですね。それを見たテレビの関係者の方が、ほかの番組にも呼んでくれるようになりました」(かたまり) 「あとは『ゴッドタン』で『若手芸人が選ぶヤバい芸人』として紹介してもらったことですね。ネタ以外の部分を見てもらえるようになったのはそこからです」(もぐら) さらに、彼らの名を高めていったのが、業界関係者からの評価だった。映画監督の大九明子はドラマ『時効警察はじめました』で彼らを起用。その後も自身が監督する映画『甘いお酒でうがい』にもぐらをキャスティングした。 「大九監督が僕らのことを気に入ってくださっていて。ドラマを作るときに『好きな人をキャスティングしていい』と言われて、僕らの名前を挙げてくれたそうです」(かたまり)