「デビュー当時はまったくウケなかった」人気急上昇中お笑いコンビ・空気階段、“虫扱い”からの飛躍
爆笑問題の太田光も自身のラジオ番組の中で彼らのことを話したりしていた。空気階段は業界の中で評価されてメディアに出るようになり、そこから少しずつ世間でも知られるようになった。 「やっぱり僕らのような芸人は最初から世間の人に認められるのは無理だったと思うんです。作り手の方が『虫じゃないよ、食べられるんだよ』って一回勝負してくれたおかげで、世間の人にも見てもらえるようになったんです」(もぐら) 「業界の人には『虫好き』が多いですからね。本当にありがたいです」(かたまり) 空気階段が業界関係者に認められる大きなきっかけになったのは、2017年に始まった彼らのラジオ番組『空気階段の踊り場』だった。前述の大九監督が彼らのことを知ったのもこの番組からである。始まった当初はテレビの仕事もなく、もぐらは夜のお店でバイトを続けていた。売れない芸人として地味に生きていた彼らは、ラジオでもその等身大の日常を語るしかなかった。 「テレビの仕事なんて全然なかったし、朝から晩までバイトしていて、それしか話せることがなかっただけです」(もぐら) 「ラジオが始まった当初は、軽快なトークでかわせるところはかわしていこうって思っていたんですけど、その技術もないし、仕事もないから、日常の生々しい話をするしかなかったんです」(かたまり)
本番中に泣きながら彼女にプロポーズをしたり、コンビ間で本気のケンカをして収録を中断したりしたこともあった。ギャンブル好きで多額の借金を抱えているもぐらと、極度のマザコンで繊細なかたまり。不器用な2人が生き様をさらけ出す『空気階段の踊り場』は、異色の人間ドキュメントとして口コミで評判が広がり、熱心なリスナーを集めるようになった。 番組を続けているうちに2人を取り巻く状況は変わっていった。芸人の仕事は順調に増えていき、もぐらは結婚して2児の父となった。一方のかたまりは結婚と、その11カ月後のスピード離婚を経験した。ラジオではそんな私生活のことも包み隠さず語っている。 「当初のプランは完全に崩れたので、今ではしょうがないなと割り切り始めているところはありますね」(かたまり) 「マイク・タイソンも言ってましたからね。『誰でもプランは持っている。でも、一発もらった瞬間にそれは頭から吹っ飛ぶんだ』って」(もぐら) 「タイソンの言う通りだなあ」(かたまり)