【F1メカ解説】メルセデスがモナコに持ち込んだ新型ウイング。初期のフィードバックは良好……”弱点”の少ないマシンへの第一歩に?
■次のカナダでは、2台揃って新型ウイングを使用へ
フラップはいずれもよりシンプルな形状に変更。従来のデザインは、一番下のフラップが翼端板付近で前後長が短くなっていたが、新デザインではメインプレーンよりも前後の長さが増し、存在感を増している。また上2枚のフラップは、ステーによってかろうじて翼端板に接続されている格好だ。 なお最も上のフラップと翼端板の接合部には、小さな小型のウイングレット(赤い矢印)が搭載された。これはフロントタイヤの前を横切るように外方向へ向かう、”アウトウォッシュ”と呼ばれる気流を生み出すためのものだろう。 メルセデスは、モナコでラッセルの分しかこのフロントウイングを用意できなかったが、カナダGPにはハミルトン用の新しいウイングの準備も整うものと見られている。 モナコでの初期のフィードバックは良好なモノであったという。しかしながら超低速市街地で行なわれるモナコGPは、空力パッケージを評価するには最も不適当なグランプリである。その真価は次のカナダGPで確認されるはずだ。 メルセデスのトラックサイド・エンジニアリングディレクターを務めるアンドリュー・ショブリンも、メルセデスの今季マシンW15の弱点を克服するために、どれだけ進歩したかが、カナダGPで適切に示されるはずだと考えているようだ。 「各チームがモナコにアップデートキットを持ち込まないのには理由がある。モナコは、低速すぎるからだ」 そうショブリンは語る。 「とても忙しいコースだし、ストレートも短い。何かを評価するのは実に難しい。でも我々が見ることができた全てのデータによれば、パフォーマンスを発揮し、マシンのフィーリングという点でメリットをもたらしていることを示している」 「ジョージはそれに満足しており、正しい方向への一歩だと感じていた。我々は、これまで得られているモノに満足しているが、モントリオールでさらに学び、バルセロナのように様々な速度域のコーナーがあるコースに行った時、さらに深く学ぶことができるはずだ」
Jonathan Noble, Matt Somerfield