NHK杯は鍵山優真が首位発進 フィギュアスケート日本男子は切磋琢磨して「どんどん上を目指す」
【SPは日本選手が上位独占】 「お、すご!!」 ミックスゾーンで取材を受ける中、鍵山はマイクを持って質問を受けながら、思わず大きな声を出している。同じ日本人の三浦佳生が、100点を超える高得点を叩き出したのだ。 「あ、すいません」 鍵山はそう言って我に返り、謝りながらこう続けている。 「周りの選手は、"僕のことを超えたい"とかもあるかもしれません。でも、僕自身は引っ張るよりも、上を目指していかないといけない、という立場で。みんなと同じ目線に立って、イリア(・マリニン)選手とか、他に強い選手もいるので、どんどん上を目指す意識でやっています」 宇野昌磨という巨人が引退したあと、周囲には日本のフィギュアスケートを背負う姿を求められる。しかし、彼にとっては共闘している感覚か。切磋琢磨が実力に転換されているのだ。 そしてSPが終わり、鍵山、三浦、壺井達也という日本選手が1、2、3位を独占した。 「今日は、みんなそれぞれがやるべきこと出し切った結果ですね。(鍵山の演技まで首位だった壺井が)いい流れを作ってくれて、パワーをもらえました。(演技の前に三浦に)『流れを作ってよ』と言われていたので、僕も頑張ろうってできましたね。みんなが100%を尽くした結果、(日本選手で)独占できたらうれしいなって」 好むと好まざるにかかわらず、鍵山がトップであることは間違いない。 「明日(11日9日)は明日で、難しいプログラムを滑ることになります。僕としてはショートと同じで、練習以上を求めずに。(トータル)300点は超えたいってことはありますが、目指しているスケートを最初から最後まで滑りきる、というのが明日の目標なので。まずは、この間の西日本インカレで失敗した4回転フリップを含めて、安定した滑りができるように。カッコいいプログラムなので、見ている人が盛り上がる滑りをしたいです!」 至高の演技は、優勝に直結する。フリーに向け、鍵山の視界は良好だ。
小宮良之●取材・文 text by Komiya Yoshiyuki