〈1.1大震災〉全国から復興祈る絵馬 珠洲・須須神社に280枚超
●「能登に穏やかな時間が流れますように」 神職、新年へ飾り付け 能登半島の最先端部に程近い珠洲市三崎町寺家の須須(すず)神社に、全国から能登半島地震復興祈願の絵馬が届いている。「能登に穏やかな時間が流れますように」。震災から間もなく1年。届けられる絵馬の数は280枚を超え、初詣の参拝者に見てもらおうと、境内に飾り付けられた。元日の津波から逃れた多くの初詣客が夜を明かして命をつないだ境内は新年、全国からの応援を奥能登に伝える場となる。 2千年以上の歴史を有する須須神社は、元日の地震で本殿が半壊し、奥宮も損壊、海沿いの鳥居も倒壊した。震災直後、大津波警報が出され、高台にある境内には海辺から多くの避難者が押し寄せた。 復旧復興を祈る絵馬が神社に寄せられるようになったのは10月。北海道の企業が届けたことがきっかけだった。震災前から須須神社を知っていた代表者が知人に呼び掛け、各自の地元の神社の絵馬に能登に寄せる思いを書いてもらった。「皆さんの幸せをお祈りしています」「一日も早く元の生活に戻れますように」。贈られた真心の絵馬は100枚以上になった。 権禰宜(ごんねぎ)の猿女(さるめ)千鶴さん(45)が贈られた祈願絵馬を写真投稿サイトで紹介したところ、北海道以外からも続々と絵馬が届き始めた。 猿女さんは、震災後に縁のあった子どもたちにも執筆を依頼した。「珠洲をよくするために勉強を頑張りたい」との思いを記した市内の中学生もいた。 「絵馬に込められた思いに勇気づけられた。地域の皆さんにも見てもらいたい」。神社は22日、ボランティアの協力を得て、これまであった絵馬掛けとは別に祈願絵馬用の新たな絵馬掛けを2基用意し、しめ縄も飾り付けた。 絵馬掛けには看板も設置する。新年は元日の神事や巫女(みこ)舞は例年通りに行い、初詣に訪れる参拝者にも見てもらう。猿女さんは「多くの神様のお力をいただき、本当にありがたい。全国の皆さんの思いとともに、地域の方々と復興を祈りたい」と話した。