ロ軍訓練場を再びクラスター弾が襲う ウクライナ軍、偵察ドローンとの連携で砲撃洗練
もう何度目かということがまた起こった。ロシア軍の部隊が、ウクライナ軍の最も高性能なロケット弾のひとつの射程圏内にある場所で、訓練のため野外に集まっていた。場所はウクライナ南部ザポリージャ州のロシア側支配地域だったようだ。 【画像】ロケット弾を撃ち込まれた訓練中のロシア軍とウクライナ製のシャーク無人偵察機 ウクライナ軍のドローン(無人機)は訓練中の兵士らを発見し、現場の位置情報をおそらく味方の高機動ロケット砲システム(HIMARS)運用部隊に伝えた。何百個もの子弾を内蔵したロケット弾が撃ち込まれ、子弾はばらばらと一帯に降り注ぎ、殺傷性の金属片を撒き散らした。 16日かその少し前にあったこの攻撃に先立って、やはりザポリージャ州で野外訓練中のロシア兵らが、ウクライナ軍のクラスター弾頭のロケット弾で攻撃される映像がソーシャルメディアで共有されていた。今年2月以来、訓練や点検などのため野外に集まっていたロシア兵らに対する同様の攻撃は少なくとも7回知られており、合計で数百人が死亡した可能性がある。 先行する動画の場合と同様に、今回の攻撃でも射撃場とみられる場所に集まっていたロシア兵らが狙われた。数十人のロシア兵らは晴れた日の日中、堂々と訓練をしていた。ウクライナ軍のドローンはその様子を上空からじっと見つめていた。 ウクライナ軍の砲兵部隊はその場所に、子弾400個あまりを内蔵する米国製M30とみられるロケット弾を発射し、命中させた。ドローンはしばらく現場上空にとどまり、ロシア兵らの生存者や遺体を観察していたようだ。 ロシア軍の指揮官らは無謀にも、GPS(全地球測位システム)で誘導されるM30の約90kmの射程圏内で訓練をさせていた。攻撃は彼らの不注意や無頓着ぶりを浮き彫りするとともに、ウクライナ軍の遠距離打撃能力の向上も示している。 攻撃に情報を提供したドローンは、ウクライナ製のシャーク(シャルク)無人偵察機を運用する第15独立砲兵偵察旅団、通称「チョールヌィイ・リース(黒い森)旅団」の所属だったと伝えられる。 黒い森旅団のペトロという上級曹長は最近、地元メディアのウクラインシカ・プラウダのインタビューで「砲(の運用方法)はドローンのおかげで根本的に変わりました」と語っている。 「ドローンが活用されるようになる前は、大砲や多連装ロケットシステムは6~12の機材を装備する部隊単位で運用され、その部隊でエリア全体をただ砲撃するだけでした。いまではドローンによって精密な射撃修正ができるため、各ランチャーや砲が個別に射撃するようになっています」(ペトロ)