ペプシコ 傘下のプロペル、パーパスマーケティングとコミュニティ支援でスポーツイベントを活性化
コミュニティ支援とパーパスマーケティングでランニングクラブを活性化
その見返りとして、プロペルはこれらの団体に不特定の報奨金を分配している。ボイド氏によれば、ペプシコは「金銭的貢献と、彼らがつながり無料のフィットネスを主催できるスペースのホスト、そして無料のプロペル(製品)を通して、ハイブリッド型の投資」を行うことにしているという。 米国では、いまランニング熱が高まっている。ことしのニューヨークシティマラソンには16万5000人が参加を申し込んでおり、これを上回るのは、2020年の同大会だけだという。ブランドストラテジーエージェンシーのザ・マーケティング・アーム(The Marketing Arm)でCEOを務めるトリナ・ロフィノ氏は、「ランニングはもっとも手軽なフィットネス活動のひとつだ。ひとりでも、ほかの人といっしょでもできる。競争してもいいし、しなくてもいい。場所や季節、時刻を選ばない。どれだけの時間走ってもかまわない」。 プロペルのチーム(ボイド氏いわく「運動する人にこだわっている」)は、このトレンドをずっと追いかけている。同ブランドが米国内の消費者2000人に行った調査から、ランナーの大半は、グループやクラブの仲間を求めているにもかかわらず、ひとりで練習していることがわかった。 「ブランドは、ランナーとつながることで複数の要件を満たせる。心と体の健康を促進してくれる何かと関わる方法のひとつがこれだ」と、ステフェニアック氏は語る。 マーケターにいわせれば、この言葉はすでに時代遅れになっているかもしれないが、プロペルのアプローチの背景には、パーパスマーケティングの要素が明らかにある。プロペルは既存のコミュニティをサポートし、一部のケースにおいては、それが広がっていくのに力を貸している。 たとえばニューアークでは、あるグループがパセーイク川にボート乗り場をつくるのを、同ブランドが資金援助している。 ステフェニアック氏の見解では、「これは賢いやり方で、ランニングクラブには、好きになる要素がいくつもある」と、同氏はEメールで述べている。「まず第一に、特にZ世代や若いミレニアル世代のあいだで、ランニングクラブはブームになっている。そこは志を同じくする人たちと楽しく簡単に出会える場所だからだ。また、ランニングクラブは本質的に、来るものは拒まずのインクルーシブな場でもある」。 ロフィノ氏もこの見解に同意している。「クラブは、とりわけソーシャルスペースとして活況にあるようだ。クラブに入って走るということは、自分と同じ価値観を少なくとも一部共有する人たちと屋外で交流するための健全な方法だ。お金もかからない」。 「生活の大半がオンラインへ移行し、それが孤立を招くようになって久しいが、ここに来て、人々がこうした場を求める気持ちは本当に強くなっている」と同氏は話す。「イベントの成功には、現地での組織づくりやマーケティング、ロジスティックスなど、さまざまな事柄が必要であり、クラブにしてみれば、企業からのサポートは渡りに船だ」という。 パーパスマーケティングとパートナーシップというコンビネーションを追求しているペプシコのブランドは、プロペルだけではない。ゲータレード(Gatorade)は、サッカーの下部組織と関わりを持つことで、欧州サッカー連盟(UEFA)とのパートナーシップを強化している。 同ブランドは2015年から、スポーツを続ける中学生を増やそうと、フットサルの世界トーナメント、ファイブ・バイ・ファイブ(Five by Five)を主催している。ゲータレードでインターナショナルビバレッジマーケティング部門のバイスプレジデントを務めるバート・ラカウント氏によれば、同社の目標は、スポーツチームに所属している子どもの数を2030年までに250万人にすることだという。 そして、スポーツに励む子どもの数が増えれば、彼らにゲータレードが商品を売るチャンスも増えると、同氏は話す。「これは社会にとっていいことであり、我々のビジネスにとってもいいことだと考えている。オブラートに包む必要はない。スポーツ人口が増えれば、我々が追いかけるべきチャンスもそれだけ増えるということだ」。 [原文:PepsiCo brand Propel is choosing running communities over creators in summer sporting push] Sam Bradley(翻訳:ガリレオ、編集:坂本凪沙)
編集部