【パリコレおさらい】「ミュウミュウ」「アンダーカバー」が圧勝の2024年春夏 超辛口な海外ジャーナリストたちの評価
ほぼ全てのファッションメディアがリポートを掲載していた中で、創業者の時代から同ブランドを取材し続けている2人の海外ジャーナリストの講評を紹介する。ニューヨーク・タイムズ紙のフリードマンは、「彼女は“マックイーン”の名が単なる遺産ではなく、命を持ち、存続されることを保証した」と綴り、バートンがクリエイティブ・ディレクターに就任した約13年前から現在までの軌跡を辿る。「悲劇やトラウマを取り除き、とても優しい光の中へと導いた。緊張感とストーリー性、そして危険なナイフの刃で躍動する衣服をベースに構築されたブランド(ショーに行くまで何が起こるか全く予測不可能なショーを行うことで知られた)に、心を込めた。クリエイティブ・ディレクター就任時は無名だったバートンが行ったのは、まず会社を団結させ、次にデザイナーとして、否定したり忠実に模倣したりするのではなく、美学を継承し、深く理解し、それを自分のものにすることが可能であると証明した。勇気と信念の行動だった。形やパターンだけでなく、精神的にも。(中略)バートンは、リーの武器であったドラマチックなテーラリングを引き継ぎつつ、ブランドにこれまで存在しなかった優雅さと寛大さも与えた。これは非常に大きな変化であり、バートンがクリエイティブ・ディレクターに任命されてからわずか1年後には、ケイト・ミドルトンのウェディングドレスを制作した。これにより、マックイーンの名前はファッションの極みだけでなく、現代の英国を象徴するものとなった。(中略)彼女による最後のショーは、女性の身体性と、あらゆる“強さ”に挑戦する姿勢があり、勝利の祝典だった」と続けた。
フューリーも彼女の功績を称えている。「バートンのクラフトへの愛や、恐ろしく鋭い仕立てのスキル、本質的に男性的なものを女性的なものに変換する能力は、微妙に、しかし確実に、ファッションにさまざまなレベルで影響を与えてきた。彼女の遺産は豊かで奥深いものだ。(中略)自身の妹が家庭内暴力の被害者であるのを認識したリーはかつて、『女性にもっと強くなってほしい』と述べた。したがって、彼にとって女性は戦士であり、衣服は鎧だった。バートンのビジョンはリーに負けず劣らず強く、柔らかさもある。(中略)フィナーレでは、ナオミ・キャンベル(Naomi Campbell)がリーの凶暴な鎧と、サラの優雅な女性らしさという、2つの遺産を融合させたかのようなコルセットとスカートを着用し、涙を拭いながらさっそうと歩いた。そしてバートンが登場すると、ゲストはすでに立ち上がっていた。真のファッションデザイナーという稀有な存在を擁護するために」と締めくくっている。