長崎大水害の記憶を後世に 伊良林小学校「ホタル委員会」
長崎放送
長崎市の伊良林小学校では「ホタル委員会」という珍しい委員会活動があります。 長崎大水害の記憶を伝え、命の大切さなどについて学ぶ活動を取材しました。 【写真を見る】長崎大水害の記憶を後世に 伊良林小学校「ホタル委員会」 中島川のそばにある長崎市立・伊良林小学校。 ホタルの写真が飾られたこの部屋がホタル委員会の活動の場で、5、6年生あわせて16人が所属しています。 児童らは5月に中島川の上流で卵を持ったホタルを採取し幼虫にかえします。 およそ半年間、エサやりなどを行って2センチほどの大きさになったところで川に戻します。 ホタルの寿命は1年。幼虫の状態でおよそ9か月を水中で暮らします。 春先に地上に出てさなぎとなりおよそ7週間、土の中へ。 初夏に羽化して空を飛べるのはたったの10日ほどです。 ホタル委員会・松尾壮真さん「ホタルを大事に育てたかったから(委員会に)入りました。」 ホタル委員会・神尾美優さん「生き物が好き。大変だけど楽しい」 ■ホタル飼育のきっかけは「長崎大水害」 ホタルの飼育が始まったきっかけは1982年7月の長崎大水害です。 未曽有の豪雨で中島川などが氾濫。 死者・行方不明者は299人で伊良林小の児童や保護者10人も犠牲となりました。 水害の記憶を後世に伝えるため、翌年保護者や教員が立ち上げた「伊良林小学校ホタルの会」が原点です。 「伊良林小学校ホタルの会」初代会長・冨工妙子さん(2013年取材)「ホタルが飛んでいって、天に昇ってって亡くなった人と現在の私たちとをホタルがつないでくれる、この意味もあってホタルを育てようっていうことになった」 ■小学校に新設された「ホタル池」 3年前に完成した新校舎の中庭に通称「ホタル池」と呼ばれるビオトープ(人工池)があります。 ホタルが飛び交う学校をめざして造られました。 児童らは去年からこの池にも幼虫の放流を始めましたが、成虫まで育つことはありませんでした。 児童「蛙だ!」 清流を好むホタルやたくさんの生き物が暮らす環境を作り出します。 ホタル委員会・小林美百合さん「川(ホタル池)の状態を保つことが大変。いっぱいかえしてあげられるように頑張りたいです。」