【ONE】“米ロイド”手塚裕之、米国凱旋試合と稲刈りに向け「アメリカの方々にも日本の米のクオリティを知ってもらいたい」
2024年9月6日(日本時間7日)に米国コロラド州デンバーで開催される『ONE 168: Denver』(U-NEXT配信)のウェルター級MMAマッチで、日本の手塚裕之(ハイブリッドレスリング山田道場/TGFC)が、イシ・フィティケフ(豪州/トンガ)と対戦する。 【写真】自身の田んぼの中に入り、苗の状態を確認する手塚 手塚は“野生獣”の異名を取る第13代PANCRASEウェルター級王者。農家と格闘家の二足の草鞋を履き、練習と試合と米作りを並行して行っている。 MMAキャリア14勝で12フィニッシュと高い決定率を誇り、前戦となる2024年4月にはヴァミール・ダ・シウバに一本勝ち、5連続フィニッシュを決めている。 対するフィティケフはニュージーランド生まれで豪州育ちのトンガ人で、元ラグビー選手という異色のキャリアを持つ。柔術も黒帯でキャリア8勝で6フィニッシュとこちらも高い決定率を誇る。 農業研修中の米国でMMAに出会った手塚にとっての米国大会凱旋試合の意味とは? そしてうわさの“手塚米”についても、ONE公式インタビューで語った。 ◆田植えの時期とかは朝7時から11時間位は田んぼで働いています ──米国大会の試合のオファーを受けたときの心境は? 「すごく嬉しかったです。前回の試合が終わってすぐのオファーだったんですけど。アメリカ大会ってことで大きい大会ですし、やっぱりずっと(アメリカで)試合をしたかったので、気合が入りました」 ──手塚選手は過去に米国生活の経験があります。その時にアマ試合も行ったりしましたが、今回、米国に戻ってONEというビッグプロモーションで試合ができることをどう思いますか。 「(当時)アマチュアでやっていた時はプロになれるかな? ぐらいの感じだったですけど、実際にビッグプロモーションのONEでアメリカの地で戦えるのは率直に嬉しいです」 ──今回の試合について、当時の友人と連絡を取り合っていますか? 「はい、しています。実際に見に来てくれる人も何人かいて。喜んでもらっています。ホームステイさせてもらったり、アメリカでお世話になった方々が結構たくさんいて、その人たちに活躍を見せることで恩返しというか、喜んでもらえたら嬉しいです」 ──栃木県が自身の本拠地ですが、今回はある意味において“凱旋試合”になりますか。 「そうですね。自分の技術はもちろん栃木で練習したことになるのですが、そもそもはアメリカで始めた。総合格闘技自体、最初に始めたのはアメリカですし。自分の軸となっているボクシングっていうのは本当にアメリカで培ったものだし。当時のコーチたちやチームメイトたちに自分がどれだけ成長したっていうのを見せたいです」 ──6月にもコロラド州などアメリカ修行を行ったかと思いいますが、その内容は? 「6月にメンバーでHIGH ALTITUDE MMAってところで出稽古に行きました。結構UFCのファイターとかONEファイターとか、本当にトップレベルのファイターとスパーリングをしたり、コーチに関してもトップリーグでサポートしているようなコーチたちが教えてくれて。良い練習ができました」 ──インスタを拝見すると(元Bellator世界ライト級王者の)ブレント・プリムスと一緒に練習された様子を公開していましたよね。 「ブレントは自分のフレンド。実はアメリカに住んでいたアマチュア時代から練習したことがあって。オレゴン州だと本当に一番強いというか、最初にアマチュアの時にやって衝撃を受けた選手で」 ──アメリカ合宿での手応えは? 「技術的なことで言えば、よりMMAに特化した技術。“グラップリング”とか“打撃“っていうよりは、その“混ぜ方”というか、“MMAストライキング”だったり、“MMAグランプリング”だったりを結構学べて、あとはトップ選手たちとスパーリングをして。自分の通用する部分と、ちょっとここは課題だなっていう部分も見つかり、本当にここは自信になるという部分も見えたので、実りのある合宿でした」 ──その手応えの一つとして武器が増えましたか。 「総合格闘技として打・投・極がより回るというか、上手く噛み合ってくる感じで、MMAならではの技術が、すごい伸びたと思います。MMAでは誰にも負けないっていう自信がつきました」 ◆相手は身体能力も技術も高い、自分の引き出しと経験の差を見せたい ──対戦するフィティケフ選手の印象は? 「背丈とかは同じぐらいで、ファイトスタイルは僕の以前のスタイルと結構似ているかなって思っています。寝てもバックチョーク。この前勝ったりしていますが、結構スタンド打撃でゴリゴリ打ってくるタイプで。フィジカルを生かした、爆発力を生かした攻撃で。やっぱり身体は強いと思います。もともとラガーマンだったみたいですし。見ててもやっぱり身体能力はあるんだろうなって思います。組み技も打撃もちゃんと練習していますし、技に関しても洗練されている部分はあります。 ただ、その引き出しとしては、やっぱり経験上の自分の方が上かなと思います。ですので、その引き出しと経験の差を見せたいと思います」 ──勝ち筋はどうイメージしていますか。 「本当にいっぱいあります。打撃でもカウンター入れて倒すのもいいですし、相手は判定負けを1度だけしていますが、KOも一本でも負けたことがない。相手に初のフィニッシュ負けを経験させるつもりですが、僕の場合、戦いの流れに任せます。勝ち筋は本当にいっぱいありますね。テイクダウンしてパウンドアウトもあるし、お腹効かせてKOもあるだろうし」 ──想い入れのあるアメリカの大会で打撃で倒すのが理想的なフィニッシュですか。 「そうですね。やっぱりエキサイティングなものを求めているので。会場が湧いて、北米でのデビュー戦なので注目されるような試合をしたいです」 ──今回、アメリカで6連続フィニッシュを決めたら、王者のクリスチャン・リーにも声が届きやすいのでは。 「そうですね。さすがに6連続でフィニッシュすれば、(タイトル挑戦は)もう決まっても良いんじゃないかと。自分では思います。もちろんチャトリ(CEO)さんや運営が決めることだと理解していますが、流石に期待はしますね。ただ、クリスチャンは11月のアトランタ大会でライト級のタイトル戦を行うので、ウェルター級は少し停滞すると思うので、暫定王座決定戦を実施してもらえると嬉しいです」 ──暫定王座戦が実施された場合、戦いたい相手はいますか。 「クリスチャンと戦わないのであれば、前王者の(ゼバスチャン)カデスタムとか。(ロベルト)ソルディッチも凄く強い選手だと思います」 ──去年、娘さんが誕生されましたよね。 「去年の1月に生まれました。まだまだ流石に目を離せないので。うちの妻が大変です」 ──父親になった意識や苦労話などありますか。 「自分が父親になるなんて本当に思ってもいなかったことなんですけど、 実際になってみると、本当にこの子のためなら死ねるなっていうか、どんなに辛いことがあっても、やっぱ守りたいって思います。守るものができたら強くなるとか、良く言われますけど、僕は独身の時、『そんなの関係ねえだろう』とか思ってたんですが、実際自分が父親になってみて、『こういうことか』みたいな気持ちを持っています」 ──ファイターとしてのモチベーションも上がりますか。 「そうですね、やっぱり娘のためにって思うと、いつも以上に力が出ます。あと、練習で結構疲れて帰っても、娘の笑顔を見るとすごい癒されたりします。そういうことがあって、本当に自分以上に大切なものかなって心底思いますね」 ──ところで米作りについて、いつからやっていますか? 「アメリカの農業研修から帰ってきてからは実家にいるので10年ぐらいになります」 ──作業時間などはどれくらいのものですか? 「今の時期は結構そこまでじゃなくて。今は従業員も雇っているので、そこまで動かなくて大丈夫なんですけど。田植えの時期とかは朝7時から11時間位は働いています」 ──それも1つのトレーニングになりますね。 「そうですね。結構疲れます」 ──手塚選手が考えるお米の素晴らしさとは何でしょうか。 「やっぱり日本人の主食はお米。伝統的なものだし。糖質制限とか最近耳にしますが、実は米で太るってことはそんなにないんじゃないかと思っていまして。栄養価的にもかなりいいとは思います。やっぱり力も出るし、特に日本人にはなくてはならないものだと思います。アメリカの方々にも日本の米のクオリティっていうものを知ってもらいたいです」 ──因みに、“手塚米”の購入方法は? 「僕はECサイトの『手塚裕之商店』を運営していますが、そこで買えます。今は、去年に獲れたものが無くなってしまって在庫切れですが、9月に稲刈りが始まるので、9月中旬ぐらいには在庫出せると思います。獲れたての新米を購入いただけます。 あと、都内だと御徒町にある『牛術黒帯』という格闘技好きのオーナーの方がやっている焼肉店も、手塚米を取り扱っているので、このお店でも食べることができます」 ──最後にファンへメッセージを。 「いつも応援ありがとうございます。“ジャパニーズビースト”を北米で名前を売れるように、しっかり6個目の衝撃フィニッシュをお見せしますので、ぜひU-NEXTでご覧になってください!」