トランプも金正恩も尋常でない…韓国の弾劾局面で朝米直取引の可能性(2)
◆8年前に「青瓦台襲撃訓練」をした北朝鮮、今回は慎重に 北朝鮮も8年前に比べて慎重な姿だ。北朝鮮は尹大統領弾劾訴追案が可決された翌日の15日にも、関連の公開報道をしていない。2016年12月の朴槿恵(パク・クネ)元大統領弾劾当時、4時間後にオンライン国営メディアで反応したのとは対照的だ。特に北朝鮮は当時、弾劾訴追案可決の2日後に金正恩委員長が参観した青瓦台(チョンワデ、前大統領府)襲撃訓練までの公開した。 軍内外では、金正恩委員長が韓半島(朝鮮半島)の緊張感をすぐに高めるのは有利でないと判断しているという見方が少なくない。繰り返してきた汚物・ゴミ風船散布は戒厳事態前の先月29日が最後であり、ミサイル発射も先月5日以降は中断した状態だ。 下手に挑発をすれば韓国の代行体制に混乱を与える「得」よりもトランプ氏を刺激する「失」につながりかねないと北朝鮮は判断している可能性がある。まず核武力を完成させて交渉力を高めた後に次の局面を狙った2017年初めの状況より余裕が生じたという分析も出ている。北朝鮮は2016-17年に高強度の挑発を続け、2017年11月の大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星15型」発射後に核武力完成を宣言した後、2018年初めに対話モードに転換した。 ロシアのウクライナ侵略戦争を全幅支援している状況も関係があるとみられる。多くの軍需物資と兵力をロシアに送った北朝鮮としては、激しい対応よりも対ロシア投資による反対給付の回収を重視して早期に対米交渉をするのがよいとみている可能性がある。 専門家らは、韓国が排除された中で朝米間の交渉が加速し、北朝鮮の核保有を事実上認めたままICBMの能力など米本土に対する脅威だけを除去する「スモールディール」が進む可能性を憂慮する。 梨花女子大の朴元坤(パク・ウォンゴン)北朝鮮学科教授は「米国の新政権に入って対外政策方向が決定する6カ月間が極めて重要だ」とし「トランプ式の腹心外交に接触できる人たちを最大限に動員し、今から韓米間の連携を徹底的に構築していく必要がある」と助言した。