新聞ではわからない疑惑の核心!「おねだり疑惑」斎藤兵庫県知事はどこで間違えたのか
裏付けられた告発の内容
こうした観点から告発文書を見ると、当初の「嘘八百」の評価とは異なり、おおむね真実相当性があるといえる内容が少なからず含まれていることが分かってきている。 最初にそれが分かったのは、読売新聞の4月16日のスクープ記事のおかげだった。「文書で加西市の会社から知事に贈られたとされる『高級コーヒーメーカー』などが3月下旬、県幹部の手で同社に返却されていたことがわかった」。告発文書で「おねだり体質」の一例として挙げられている内容の一部が事実で裏づけられたのだ。 知事のパワハラの一例として、告発文書には「出張先の施設のエントランスが自動車進入禁止のため、20m程手前で公用車を降りて歩かされただけで、出迎えた職員・関係者を怒鳴り散らし」と書かれている。これについては、関西テレビが6月7日、「取材に県職員など8人が『見たり聞いたり』したと答えました」と報じた(斎藤知事は記者会見で「それなりに厳しい口調で注意をさせていただいた」と説明)。 国と兵庫県が共同出資する公益財団法人ひょうご震災記念21世紀研究機構の理事長を務める五百旗頭真・神戸大学名誉教授に対し、全幅の信頼を置く2人の副理事長を解任する方針を片山副知事から通告し、その翌日、五百旗頭理事長が急逝したとの記載が告発文書にあった。 これについて、片山副知事は7月12日の記者会見で、「お亡くなりになる前日ではなく、6日前です」と訂正した上で、「4人いる副理事長を組織の効率化から2人とすることをご相談していますが(中略)理事長さんを圧迫したという認識はございません」と説明した。日付は誤っているものの、そのほかの外形的な事実関係は大筋でおおむね正しかったといえるだろう。 告発文書には、昨年7月に行われた斎藤知事の政治資金パーティーのために、パーティー券を商工会議所や商工会に大量購入させた、と記されていた。これについて片山副知事は「パーティー券の販売を私が手伝ったのは事実です」「購入のお願いをしたものです」と述べ、「特別職であることから法的に問題はありません」と説明した。これについても、外形的な事実関係はおおむね合っていたといえるだろう。 少なくともこれらの事実関係に関する記載については、正当な内部告発と言えるように私には思われ、私見によれば、このうち、高級コーヒーメーカーの授受とパワハラまがいの言動については、公益通報に該当する可能性が十分にある。