『モンスター』趣里と古田新太が白熱の法廷バトル “杉浦”ジェシーが添える人間味
『モンスター』(カンテレ・フジテレビ系)第6話は、高額医療ツアーをめぐる裁判の後編である(以下、ネタバレあり)。 【写真】亮子(趣里)の事務所を訪れた父・粒来(古田新太) 12年ぶりの親子の再会は、そのまま法廷での対峙となった。亮子(趣里)が高校生の時に家を出たきり、そのまま帰らなかった粒来(古田新太)。唯一のつながりは、毎月口座に振り込まれる金銭だった。入金を通して娘は父が自分を見ていることを知り、出金記録から父は娘の生存を確認する。言葉にならない思いを通帳に記載された数字から読み取る、そんな親子のやり取りは、年月を超えて法廷で一つの事実をめぐって真実を明らかにする問いかけとなった。 事件の推移を記すと、アメリカ在住の資産家だったマサル(石橋凌)はガンの治療のため、岡本プレミアクリニックが実施する高額なP2カクテル治療を受けに来日した。しかし、治療の効果はなく、帰国後に亡くなった。娘のエマ(秋元才加)は効果のない治療によって死に至らしめたことの損害賠償と、看護師の梶田(島田桃依)とコンサル会社のOPCエンタープライズに生前贈与された300億超の財産の返還を求めて訴訟を提起した。 治療に効果がないことを証明するのは、実は簡単ではない。治らないからといって効果がないわけではない。どのような治療方法を採るかは医師によって異なるし、そもそもガンであることの確定診断にも個人差がある。したがって、因果関係を追及するのは得策ではない。損害賠償が成立するには相手方の故意または過失を立証する必要があり、不当利得は法律上の原因がないことを具体的な事実から証明しなくてはならない。争点は、詐欺の事実の有無と生前贈与が有効であるかに絞られた。 そういうわけで、梶田がマサルをたぶらかしていた確証を得るため、潜入弁護士・杉浦(ジェシー)が再び偽装入院する。しかし梶田はすでにクリニックを辞めていて、午後の便でアムステルダムへ高飛びする、いかにもドラマ的なギリギリのタイミングがあり、結果的に梶田が帰国して出廷する予定であることをつかんだのはお手柄だった。また、贈与の有効性を争うため、公正証書遺言の作成に関与した公証人にコンタクトを取った。 第6話では、法的構成を日常語で理解できるように登場人物に語らせる手並みの鮮やかさに舌を巻いた。文字数以上の情報量が詰め込まれているが、スピーディな展開はマサルの真意を探るという一点に集約されていた。一つの事実や証言をどう評価するかは、それによって裁判の帰趨を決定づけるため重要だ。マサルの残したメールのメッセージや公証人に語った内容から、亮子たちはマサルがクリニックに騙され、財産を贈与したことはマサルの真意から出たものではないと結論づけた。それに対して、粒来が提出した証拠は真逆の結論を導くものだった。