「JR四国イチの赤字線」ポテンシャルありまくり!? 楽しすぎる列車たちとの“出会い” 「いっそ高知まで直通しては」
1駅だけ他社線を走る
JR四国で最も経営が厳しい路線は、高知県と愛媛県にまたがる予土線(若井~北宇和島)です。100円の収入を得るための経費を示す営業係数は1329円(2023年度)となっています。同社は路線を廃止する考えはないとしていますが、過去には沿線自治体によって「国鉄予土線存続期成同盟」が結成され、現在でも高知県・愛媛県と沿線自治体が「予土線利用促進対策協議会」を設置しています。 【個性あふれすぎだろ!】予土線の列車を見る(写真) そのような予土線は四万十川の景観が楽しめる路線として、1984(昭和59)年に国鉄で初めてトロッコ列車が運行され、現在でも観光列車「しまんトロッコ」が運行されています。ほかにも「Yodosen FunFun Trains」としてシリーズ化された、個性あふれる列車も走ります。 全通は1974(昭和49)年ですが、前身の宇和島鉄道が宇和島~近永間を開通させたのは1914(大正3)年のこと。歴史は古いです。ただ全通後も利用は少なく、前出の同盟が結成されたのは1980(昭和55)年のことでした。 1988(昭和63)年、予土線とつながる中村線が土佐くろしお鉄道に転換され、窪川駅以西が土佐くろしお鉄道となりました。ただし、予土線には現在も窪川駅を発着する列車があるため、他の鉄道会社に1駅だけ乗り入れるわけです。では2024年11月時点で、予土線はどのような利用状況なのでしょうか。 高知方面から、窪川発の予土線で宇和島方面に向かう場合、最短で24分、最長では1時間17分待ちで、接続は微妙です。逆に宇和島方面から、窪川駅で土讃線に乗り換える場合は、最大1時間56分待ちとなります。予土線の始発列車が到着する直前や、最終列車が到着する直前に高知行き特急が出発してしまうダイヤなのは残念です。
トンネルや橋で直線的に走る
高知駅からの特急「時代の夜明けのものがたり」「あしずり3号」に接続する、窪川13時21分発の「しまんトロッコ1号」に乗車しました。 列車は専用塗装のキハ54形ディーゼルカーが、トロッコ貨車と一般車両を牽引するスタイル。デザイナー・水戸岡鋭治氏が手掛けた唯一のJR四国車両です。トロッコ利用(土佐大正~江川崎)には指定券が必要です。乗客は18人でした。 窪川駅を出ると右側に四万十川が見えました。次の若井駅では1人が下車。土佐くろしお鉄道の駅なので、駅名標がJR四国とは異なります。 若井駅を出てJR四国に。同社最南端の無人駅である家地川駅では1人が下車しました。次の打井川駅での乗降ゼロ。四万十川は線路から離れず、土佐大正駅まで並行します。 13時57分、土佐大正駅着。3人が乗車、1人が下車し、「海洋堂ホビートレイン」と列車交換です。トロッコは同駅から利用できます。11人が移っていきました。 トロッコは無蓋貨車トラ45000形を改造したものでダイナミックな乗り心地。珍しく座席にクッションがあります。最も景色がよいのは両端で、初めは右側(CD席)が、後に左側(AB席)が川側になります。 1974年開業の新しい区間なので、鉄橋で川を越え、トンネルで直線的に走ります。抜けると再び四万十川と並走し、14時15分、土佐昭和駅に到着。17人の団体と車内販売クルーが乗車し、にぎやかになりました。