【WEC富士2024/編集長の目線】年々増していく熱量。まさに全員が大勝利!
レースの結末は必要ない
サーキットサファリで間近を走るマシンたちの美しさ、勇ましさにすっかり魅了されたこともあり、今回はいつも以上に予選からすっかり夢中になった。ハイパーポールの緊張感も堪らない! そしてLMHのハイパーポールを制したのは、マニュファクチャラーポイントでは現在6位となる伏兵、2号車のキャデラック。2位に8号車のトヨタ、3位に15号車のBMWがつける。しかし10台のタイム差は全て1秒以内という大接戦だ。 今回、当然ながら終始感じたのはトヨタの"ホーム感"だった。応援する観客の数も圧倒的に多いし、実はメディアセンターが大きく反応するのは、大抵トヨタの2台に何かがあったときだ。まさにこの原稿を書いている途中で7号車が5号車のポルシェとクラッシュし、メディアセンターが「嗚呼……」というため息に包まれたのである。 さて終盤、残り1時間を切ったところでLMHトップ3は6号車ポルシェ、15号車BMW、35号車アルピーヌの順番。地元トヨタ勢は厳しそうだ。ここまで目まぐるしく順位が入れ替わり、ちょっと目を離したらトップが変わっていることも多々あった。こんなレース、WEC富士では見たことがない。LMGT3は59号車マクラーレン、92号車ポルシェ、54号車フェラーリがトップ3だが、こちらも予断を許さない状況だ。 レース中にメディアセンターで書き始めたこの原稿だが、実のところ、レースの結末を記す必要はないのではないか……と思い始めている。"全員が大勝利"とは随分綺麗ごとすぎるが、WEC富士という"お祭り"で参戦者、観客、関係者が一緒に"神輿"を担ぎ盛り上げただけで、充分ではないか。 パドック裏で一生懸命タイヤを運んでいるメカニック、コースサイドにテントを張りレースの行方を見守った多くのファン、メディアセンターの入口で1日パスをチェックしていたスタッフなどなど、全員でこのお祭りを作り上げたのだ(なおレース後の速報値で、観客は昨年比120.3%となる6万5800人と発表があった)。 ……それではゴールを生で見るべく、メディアセンターを後にすることにしよう。