投票に行かなくなったのは中高年。これからの選挙のあり方を考える
抽選で議員に⁉︎ 地方からはじまる、政治への新しい関わり方
── 選挙ではないところで政治に触れる制度とは、具体的にどういうものでしょうか? ここまで「投票する側」の選挙離れの話をしてきましたが、実際には「選ばれる側」である政治家のなり手も減っているんです。定数に対して候補者が足りず無投票選挙になったり、議会の維持自体が難しい自治体がすでに出てきています。 ── 投票率の話以前に、そもそも選挙が成り立たないと。そういう自治体はどうなっていくのでしょう? 有志の市民が議会をサポートしながら一緒に政策決定に携わる「市民サポーター制度」や「ボランティア議会」など、新しい取り組みが生まれています。
私は、裁判員制度の仕組みを地方議会に転用してみるのがいいんじゃないかと思っているんです。つまり、その地域に住む有権者の中から抽選で「あなたが今期の議員です」という通知が届く。 ── そんなお知らせが突然来たらびっくりしますね。 でも議員をやるのは期間限定。さらに、みんなが順番で同じ体験をしていく。自治会やマンションの管理組合と同じです。 この制度のいいところは、選挙で選ぶ側の役割しかできない人が、選ばれる側の体験ができるということ。自分が住んでいる地域の政策決定に関わらないといけないとなったら、真剣に考えますよね。 ── たしかに、議員に立候補するなんて考えたことがない人でも、強制的に地元のことを考えてくれと言われたらやるしかない。 特に若い人にとって、この体験の価値は大きいと思います。裁判員制度でも、2023年の一年間で18、19歳が26人裁判員になったそうです。シビアな判断を求められる現場を体験している若者がすでにいるわけですから、議員だってできるはず。 若者の政治参加でいうと、愛知県新城市で2015年4月に「新城市若者条例・新城市若者議会条例」に基づき誕生した「若者議会」も、おもしろい取り組みです。市長直属の機関として予算も用意されていて、公募で選ばれた16~29歳の若者たちが考えた政策がいくつも実現しています。