人類とテクノロジーの関係を考える。森美術館「マシン・ラブ:ビデオゲーム、AIと現代アート」展の見どころは?
ゲームエンジンやAI、仮想現実(VR)などのテクノロジーを採用した現代アートを紹介する展覧会
仮想空間と現実世界が接続し、AIが飛躍的に発展するなか、私たちの日常には新しいテクノロジーが急速に浸透している。歴史のなかでつねに併走してきたテクノロジーとアートだが、近年は、ビデオゲームやAIの発展がアーティストの創作に新しい可能性をもたらすいっぽう、生成AIの登場が様々な議論を引き起こしている。 こういった状況を背景に、ゲームエンジンやAI、仮想現実(VR)、生成AIなどのテクノロジーを採用した現代アートを紹介する展覧会「マシン・ラブ:ビデオゲーム、AI と現代アート」が、森美術館で開催される。会期は、2025年2月13日~6月8日。 参加作家は、ビープル、ケイト・クロフォードとヴラダン・ヨレル、ディムート、藤倉麻子、シュウ・ジャウェイ(許家維)、キム・アヨン、ルー・ヤン(陸揚)、佐藤瞭太郎、ジャコルビー・サッターホワイト、ヤコブ・クスク・ステンセン、アドリアン・ビシャル・ロハス、アニカ・イの12組。《デリバリー・ダンサーズ・スフィア》(2022)で、「アルス・エレクトロニカ」のニュー・アニメーション・アート部門で2023年にゴールデン・ニカ賞(グランプリ)を受賞したキム・アヨンをはじめ、アートやメディア・アートのプライズ受賞者も多数名を連ねる。 現代アートに限らず、デザイン、ゲーム、AI研究などの領域で高く評価されるアーティストやクリエイターが、生物学、地質学、哲学、音楽、ダンス、プログラミングなどの領域とコラボレーションしながら制作した作品が一堂に会する機会となる。 展示作品には、デジタル空間上の様々なデータが素材となった新しい美学やイメージメイキングの手法、アバターやキャラクターなどジェンダーや人種といった現実社会のアイデンティティからの解放、超現実的な風景の可視化などの特性を見ることができるが、その表現の根幹では死生観や生命、倫理の問題、現代世界が抱える環境問題、歴史解釈、多様性といった課題も掘り下げられている。 また、キム・アヨンの《デリバリー・ダンサーズ・スフィア》のゲーム版や、AIキャラクターと対話するディムートの《エル・トゥルコ/リビングシアター》など、観客が参加できるインタラクティブな作品も登場。さらに展覧会アドバイザーを務めるメディア・アーティストの谷口暁彦が「『私と他者』の二者の関係性」をテーマにセレクトしたゲームを、来場者同士でプレイできるインディー・ゲームコーナーも展開される。
Art Beat News