「検査をしても診断がつかない…」つい我慢してしまう<フワフワめまい>。<グルグルめまい>と異なるその特徴とメカニズムを専門医が解説
厚生労働省が行った「令和4年 国民生活基礎調査」によると、人口1000人あたり20.3人が「めまい」の症状を訴えているそう。ストレス社会の現代では、「体がフワフワするめまい」に悩まされる人が増加しています。川越耳科学クリニック院長・坂田英明先生と、めまい相談医・神崎晶先生は、「フワフワするめまい」に悩む患者さんを数多く治療してきました。今回は、お二人が「めまい」を撃退する方法をまとめた著書『フワフワするめまいを治す最強の食事術 名医が教える新しいめまい撃退法』より、一部お届けします。 【図】めまいと関係の深い「内耳」の構造を詳しく解説 * * * * * * * ◆めまいは社会の情勢を映す現代病 めまいに悩む人が増え続けています。 日本には、めまいの患者さんが約3000万人いると推定されています。日本の人口比で、4人に1人がめまいに悩まされていると考えられるのです。 なぜ、これほど多くの人がめまいに悩まされているのでしょうか。 体質的なものを除くと、めまいの原因とされるのは、ストレスや加齢、生活習慣、社会環境など。 ストレス社会と呼ばれる現代社会では、多くの人たちが仕事や勉強、家事に追われ、睡眠不足に陥ったり、不規則な生活を続けたりしています。こうしたストレスや生活習慣の乱れが、めまいを増やしているともいえるでしょう。 めまいというのは、その時代や社会の情勢を反映しやすい現代病でもあるのです。 こうした時代背景を反映するかたちで、フワフワめまいに悩む人も大幅に増えています。その主たる原因が、ストレスや生活習慣の乱れにあるからです。 フワフワめまいとは、いったいどのようなめまいなのか、それを詳しく説明していきます。まずは、その主な特徴について触れておきましょう。
◆フワフワめまいの主な特徴 フワフワめまいの主な特徴 ・グルグルした回転性ではなく、フワフワした浮動性のめまいである ・回転性のめまいを併発することがある ・原因は、実は複数ある ・耳鼻咽喉科などで「原因不明」「異常なし」と言われることが多い 最も簡単なフワフワめまいの定義は、「回転性以外のめまい=フワフワめまい」というものです。 「めまい」といえば、周囲がグルグル回るめまいを想像する人も多いことでしょう。 そうした回転性のめまい以外が、すべてフワフワめまいの仲間なのです。 やっかいなのは、フワフワめまいに先行するかたちで、メニエール病(めまいや吐き気がくり返し起こる病気で、一般的には耳鳴りや難聴を伴う)などによる回転性の激しいめまいが起こることがあり、この2つのタイプのめまいを併発することも少なくない点です。 グルグルめまいの原因たるメニエール病の治療をしていたら、フワフワめまいも起こるようになったというパターンも多く見られます。 フワフワめまいを引き起こす原因はたった1つというわけではなく、複数の原因が考えられるのです。 残念なことに、このようなフワフワめまいの詳しい情報は、専門家である耳鼻咽喉科の医師にも、まだまだ認知されていません。 結果として、耳鼻咽喉科で検査をしても、診断がつかないというケースが頻繁に生じます。 こうしてフワフワめまいに悩む多くの人が、じゅうぶんな治療を受けられなかったり、ドクターショッピングをくり返したりといった事態も生じるのです。回転性のめまいほど激しいめまいではないため、我慢して日々をやり過ごしている人も多いことでしょう。 そんなフワフワめまいを理解するために、まず耳の構造について解説しましょう。
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