気象で需要を予測 “2年先”に売れるモノは?【WBS】
季節商品の売れ行きなどにも大きく影響することから企業の関心も高い天気ですが、日本気象協会は11日、2年先まで予測するサービスを始めると発表しました。 「今回、気象業界初として2年先の長期気象予測を各企業に提供を開始させていただく」(「日本気象協会」商品需要予測事業の古賀江美子さん) これまでは最長で6カ月先まででしたが、2年先の月ごとの平均気温や降水量などを予測し、企業に提供します。 しかし、どうやって予測するのでしょうか。カギとなるのが日本の天候に影響する熱帯地域です。 「精度が高い熱帯域の情報を取り出し、日本付近の天候と学習させることで精度の高い予測式を作った」(「日本気象協会」気象予報士の小越久美さん) 集めた情報をコンピューターで分析。その結果、これまでの予測方法に比べ誤差は大幅に改善したといいます。では、2年後の6月は平年に比べてどうなっているのでしょうか?
こちらは気温や降水量などを全国平均で予測したグラフです。 「まず一番上、降水量が多い。そして日照時間がここ2年に比べると少ない。そして気温がかなり高いという予測になっている」(気象予報士の小越さん) 2年先の予測ができることで、気象条件を踏まえて企業が生産計画を立てたり、年間予算を組んだりすれば、無駄の削減に繋げられるといいます。 「2年後の6月は何が来そうですか」 「まず気温がかなり高いのでスポーツドリンク、制汗剤などの夏商材のピークが早めに到来することが予想される。さらに降水量が多く日照時間が少ないという予想。頭痛薬などの売り上げが伸びるのではないか」(気象予報士の小越さん)
6カ月先の予測はチョコモナカジャンボでも活用
実は日本気象協会は既に6カ月先までの気象データを100社以上に提供しています。森永製菓は「チョコモナカジャンボ」の食感を維持するために、製造後5日以内を目標に出荷できるよう気象データを活用し生産調整しています。 では今回の2年先の気象予測。企業はどのように使うのでしょうか? 大手アパレル企業の「アダストリア」。商品の企画や販売を管理する渡邉元さんが見ていたのは、日本気象協会が提供するデータです。アダストリアでも6カ月先までの予測を活用しています。 「(客は)季節を飛び越えて商品を買うというよりは、気候動向に合わせて消費していく傾向が強くなっている。客の消費動向を踏まえ、季節をどう区切るかに役立てている」(アダストリアの渡邉さん) データによると、今年の9月は全国的に気温が高い傾向と予測されています。そのため、アダストリアでは、店舗で扱っている夏物の販売期間を延ばすことも検討。商品の切り替え時期を見通す材料として活用しています。 また、生産計画を決める上でも参考にしているといいます。 「一つの商品をどのぐらいの量を作っておくか、いつまでに売り切るかに影響してくる。過去の実績も踏まえ、予測を組み立てていく」(アダストリアの渡邉さん) 一般的な衣料品では、生産を始めるのは販売開始の4カ月ほど前。2年も先の気象予測は必要なのでしょうか? 「2年先の気象予報を活用するとなると、素材の調達に関しても早いタイミングから手が打てる。状況に合わせた形で必要なものを準備できると思う」(アダストリア営業統括本部の渡辺和昭さん) ただ、気象データを活用する企業はまだ10%足らずだといいます。 「既存の客としてアパレル企業や製薬メーカー。他にも金融業界とか農業分野に関しても非常に欲しいデータだという声が出ている」(「日本気象協会」商品需要予測事業の古賀江美子さん) 日本気象協会は、新たな気象予測サービスで、3年以内に100社への導入を目指します。 ※ワールドビジネスサテライト