業界クチコミ1位。「人生が愛おしく思える結婚式」を提供するCRAZY代表 森山和彦さんインタビュー
──そういった「非言語領域をデザインする」という発想にいたったルーツは? 前職で6年半ほど勤めた、人材コンサルティング会社での経験です。そこでは、主に経営者のコンサルティングを行なっていました。 ウェディングとまったく違う仕事のように思えるかもしれませんが、実はノウハウはそんなに遠いものではないのですよ。夫婦になる二人の想いを言語化するのは、コンサルティングに近いんです。 人材コンサルでは、クライアントのニーズを言語化するために、心理学や脳科学も活用していました。CRAZY WEDDINGにおいても、そこで学んだ方法論が生かされています。 IWAIでは結婚式を挙げられる際にお打ち合わせをするのですが、はじめのお打ち合わせの目的はお二人の人生や当時の感情をヒアリングすること。そして「無自覚のニーズ」を引き出すようなカウンセリングを行ないます。 さらに人材コンサルでは企業イベントのプロデュースも行なっていたので、空間に対するロジックもありました。たとえばイベントで企業理念をただ伝えるだけでは、心に響くものにはなりません。しかし、伝えたいことに非言語である空間と人間心理を合わせると、そこに感動が生まれるんです。 今の婚礼事業も、方法論としてはその延長線上にあると考えています。
本質を追求するから、クレイジーになる
──では起業に至った経緯について、お聞かせください。 お話ししたとおり、人材コンサル時代は主に経営者のコンサルティングを行なっていたのですが、「本気で社会を変革しようと思っている経営者が意外と少ない」と感じていました。コンサルティングする事にも限界を感じていたのもあります。 違和感を感じながらも仕事を続けていたある日、急に情熱が湧いてきたんです。ちょうどそのころ、家族や自分に起きた出来事もあって「自分が信じきれない会社」を励ましている自分に「何か根本的に違う」と感じて。 1人の人間としてどう生きるか? 本質に立ち返って考えました。頭のなかにあるのは「草原に人が立っているイメージ」です。システムや枠組みより先に、人として地球にいる。肩書なんて小さすぎて見えない。それが原点だと思ったんです。そのうえで行動選択をしようと。 ──シンプルかつ本質的な問いが根本にあるということですね。 そのとおりです。元々は合理性を優先する人間で、それこそCRAZYが掲げている「愛」なんて、気恥ずかしいと思っていた側の人でした。 高い業績を上げること、ハイパフォーマンスで仕事すること、メンバーを率いること、批判されること…そういうことが詰まったコンサル時代だったのですが、その時、気づいたんですね。 「この仕事は何につながっているのか、私たちは一体どこに向かっているのか。もっと地球が、人々が喜ぶ仕事をしよう」と。そんなインスピレーションをベースに起業しました。 ──CRAZYという社名はどこから? 「本質的で 美しく ユニークに」というのは創業から変わらないバリューなのですが、本質を追求すればするほど、多くの常識から外れていってしまう。 傍から見ると「クレイジーだよね」と思われるくらいの理想を掲げよう。だからクレイジーな存在になろう、という意味が込められています。 僕らから見ると世界の方がクレイジー。だからCRAZYが社会の1つの勇気、触媒になればいいなと思っています。旗を掲げていたら、社会が少しでも気づいてくれるのではないかと。 ──「クレイジー」という、1つのムードをつくり上げようとしているような? そうです。まさにムードです。社会における愛の意味が変わってきたり、愛でもビジネスとして成り立つ。そんなムードをつくりたいですね。 ──これまでに困難や難局はありましたか? もちろんありました。一番の難局は、事業を拡大する際に社風が一度、良くない状態になってしまったことです。 急成長して採用を増やすうちにメンバーの関係がギクシャクしはじめて。僕から「売り上げも、お客様も、社員も、すべて充実することが大事」というメッセージを発信しても、現実とのギャップに社員との溝ができてしまった。 そうなると、僕が「理想だけを言う痛い人」になっちゃったんですね。すると現場では、CRAZYの大切にしたいことと違うことが行なわれていく。これは、事業拡大の進め方を誤った僕のミスでした。 そこで全員と個別面談し、話し合ったうえで、「これ以上、一緒に進めない」となったメンバーにはCRAZYという船を降りてもらいました。 「失敗した自分が社員の進退を迫る」という構造自体がエゴの塊で、自分でも最低だと思いましたね。でも、そうまでしてでも立て直すしかなかったんです。 ──その状況をどうやって乗り越えたんですか? 究極的には「元気でいた」ということですね。 どんな時でもリーダーは元気でいなければならない。それが僕の仕事の根本だと思うので。どんなにつらくても希望の側に立つ。そう決めています。 ──チームビルディングはどのように? ひとりひとりの社員の情熱を大事にすること。つまり主体性です。彼らの情熱が自由に発揮できる状態をつくることを大切にしています。 リーダーシップの役割は押しと引きの2つがあって、押しは「背中をGoサインで押す」こと。引きは「責任を奪わない」こと。もちろん最終責任は僕にありますが、メンバーが自分ではじめたことは責任を預けます。 上から指示されたことではなく、みんながそれぞれ主体で行動していくと、お互いにエンパワーメントし合い、社員は強くなります。 ──仕事への熱意の源泉は何ですか? 僕は意図的に内省するのですが、その時に出てくる言葉やエネルギーが熱意の源泉になります。 「世の中にないものをつくりたい、誰も行ったことのない場所に行きたい」という強い願いがあって、「誰もつくり上げたことのない、奇跡のような会社をつくりたい」という想いが源泉になっていると思います。 あとは、できようができまいが挑戦していることが原動力ですね。振り返ると「俺、挑戦してたな」って思える日々は良かったと思えるじゃないですか。 ──目指すゴールを教えてください。 永遠にゴールはないけど、「人生の節目節目に、CRAZYで時間を過ごしたい」、そんな風に思っていただけるブランドにしたいと思っています。 CRAZYブランドがお客様の生涯にわたって、そして次の世代まで「愛を見える化」していける会社になりたいですね。