ママ友と子連れで「市民プール」へ! ママ友とその子どもは「450円」だったのに、わが家は「900円」かかりました。なぜ“2倍”の料金差になるのでしょうか…?
「友人親子と近所の市民プールに行ったら、金額が倍も違って、なんだか腑に落ちない」このような経験をしたことはありませんか? 地方自治体の運営する公営施設の利用料は住民とそれ以外の人で異なることは一般的ですが、住んでいる市が異なるだけで料金差が2倍にまでなるのは少し疑問かもしれません。 本記事では、なぜこのような料金差が生じるのか、その理由と公営プールをとりまく背景を詳しく解説します。 ▼エアコンを「24時間」つけっぱなしだと、電気代はいくらかかる? 1ヶ月の電気代を試算
市民プールの料金設定には、なぜ差があるのか
料金設定に差がある主な理由は、施設の主目的と受益者負担の原則にあります。市民プールは主に市民の利用を目的として設置されており、市民の健康増進や余暇活動の促進という目的があります。このため、より利用しやすい価格設定になっているのです。 また、市民が税金を通じて施設の維持管理に貢献していることも、優遇料金が適用される理由の1つです。一方、市外の人は普段その市の税金を納めていないため、おおよそ基本料金の1.5倍から2倍の範囲で市民よりも高い料金が設定されているケースが多いのです。 このように、市民プールの料金は、政策目的、資金の出所、公平性の3つのバランスを考えて設定されているのです。
料金差が必要な理由
料金設定は施設の存続に必要な措置といえます。なぜなら公営プールは財政面での課題に直面している施設が多いためです。 さいたま市のレポートでは、市の公営プール5施設の年間の収支は、支出が収入を大幅に超過していると指摘。5年間の平均で、収入が約5400万円、支出が約4億1900万円であり、収支は年間約3億6500万円の支出超過(マイナス)であるとしています。 このような現状は、さいたま市だけではありません。政令指定都市の屋外のレジャープールは開設時期が1960~1970年代に集中しています。そのため、施設の老朽化が進んでいて、施設の老朽化に伴う維持・管理コストの増大も問題となっています。財政面で課題を抱えた結果、施設の統合や閉鎖を選ぶ自治体もあります。 しかし、施設の統廃合は、市民のレジャー機会を減らすことになり、全体的な値上げは市民の負担を過度に増やすことになります。そこで、市民と市外の人で料金に差をつけることが、1つの有効な解決策となり得るのです。 市民の税金で運営されている施設を、持続可能な形で維持していくためには、利用者にそれぞれ適切な料金負担を求める必要があるといえるでしょう。