シングルマザー支援に「シェアハウス」(上) 同じ境遇で助け合いも
全国に広がる事業者が課題共有
こうしたシェアハウスが少数ながら、全国に広まりつつあります。立教大学コミュニティ福祉学部の葛西リサ特別研究員によれば、2012年まで年1件だった開設数が、14年に6件、16年に7件と増えていきました。開設と閉鎖が繰り返され、正確な数をつかむのは難しいそうですが、19年2月現在で東北から九州まで全国26件の運営が確認できています。母子世帯向けシェアハウス専用のウェブサイト「マザーポート」も開設されています。 今年2月には、神さんらが呼び掛けて名古屋市内で母子世帯向けシェアハウスの全国会議を開催し、事業者や支援者ら約100人が集結。各地の取り組みや課題を共有しました。東京や千葉、神奈川などからは団地や空き家の活用、大阪や兵庫からは長屋をリノベーションしたり、介護施設と組み合わせたりする多様な取り組みが紹介されました。一方、資金面や安全対策面で民間経営による限界も指摘。会議を母体にNPO法人「全国ひとり親居住支援機構」を発足させ、事業者間のネットワークをつくると共に、各自治体へひとり親世帯が安定的に住まいを得られるよう働きかけていく方針を決めました。 (下)では、こうした動きに関連する法制度の現状と課題をまとめます。 (石黒好美/Newdra)