<サッカー五輪最終予選>五輪王手のUー23に今、必要なものとは?
男子サッカー・リオ五輪アジア最終予選、イランとの準々決勝は0-0のまま90分を戦い終え、延長戦に入って豊川雄太と中島翔哉の2ゴールで日本が3-0とし、準決勝進出を決めた。 勝負を決定づける2つのスーパーゴールを叩き込んだ中島翔哉の試合後の言葉が、このチームのアジアにおける現在地と、個々の選手たちのレベルを物語っていた。 「90分でなかなか良いプレーができなかった。ほぼ何もしていなかった」 イランに体力と集中力、勢いがあり、互いにコンパクトな陣形に保った状態でぶつかり合うと、ボールを保持することがままならず、自分の持ち味を出させてもらえない。 それは何も中島に限った話ではないだろう。遠藤航と原川力のダブルボランチもボールを奪えず、反対に奪われ、右サイドハーフの矢島慎也も、2トップの一角として出場したオナイウ阿道もピッチに這わされることが多かった。 だが、相手の運動量が落ちたり、隙が生まれたりすれば、やれないことはない。 ならば、相手が落ちてくるまで我慢して、落ちてきたところを仕留めてやればいい。 それが、リオ五輪アジア最終予選を勝ち抜くために、チームを率いる手倉森誠監督と選手たちが描いたプランである。 キャプテンの遠藤航が振り返る。 「相手の時間帯がかなり長くて、我慢する時間帯が多かったですけど、相手が勢いを持ってくるのは分かっていたので、失点をしないことだけを考えて戦いました。延長で相手が落ちてスペースが生まれたので、トヨが決めて、翔哉も2点取りましたけど、相手が落ちてくるという予想も含め、我慢比べに勝てたのが大きかった」 イラン戦を見ていて、防いで蹴る、防いで蹴る、を繰り返すU-23日本代表の姿に、焦れったさを感じた人は少なくなかったに違いない。こんな創造性のないサッカーでは未来がないと頭を抱えた人もいただろう。イランがヨーロッパでプレーする3選手を招集できていれば、大差で敗れていたかもしれないと憤っている人もいるかもしれない。