【米国株ウォッチ】テスラは中国メーカーの攻勢に耐えきれるのか?
中国勢に対抗するテスラの武器
テスラの自動運転車が中国市場で苦戦する一方で、低価格、革新的なデザイン、豊富な機能を武器に攻勢をかける中国メーカーは、テスラを尻目により多くの車を走行させることで、データが王様である自動運転の性能をより強化していく可能性がある。より多くのクルマが道路を走るということは、より多くの走行距離、より多くのデータ、そしてより多くのAI学習を意味するのだ。40年前にトヨタやホンダといった日本勢が米国の自動車メーカーのシェアを奪ったように、現代の中国メーカーが自動運転の分野においてシェアを拡大する可能性は大いにある。そして、彼らの規模が大きくなるにつれ、規模の経済性によるメリットもさらに大きくなるだろう。 ■中国勢に対抗するテスラの武器 中国のEVメーカーが優位に立ちつつあるにもかかわらず、テスラにはこうした難局を乗り切るのに役立ついくつかの利点がある。テスラは中国での製造拠点から引き続き利益を得ている。テスラの上海工場は最大級の規模を誇り、モデル3とモデルYを年間95万台以上生産できる能力を誇っている。これに対し、テスラのカリフォルニア工場での生産台数は約65万台である。テスラは今年上半期だけで、中国で生産した42万6000台以上の自動車(中国での販売と輸出の両方を含む)を納車しており、これは全世界の納車台数の半分以上を占めている。 さらに、テスラは世界的に良好なポジションを維持しており、世界貿易におけるいくつかの保護要因の恩恵を受けている。中国の自動車メーカーは、バイデン政権が課した100%もの高関税のほか、規制上のハードルもあり、米国に進出できていない。欧州連合(EU)では、現在EV市場の約5分の1を中国からの輸入が占めているが、規制当局は50%近い関税を検討している。これにより、中国自動車メーカーの世界進出計画が遅れる可能性があり、テスラは主要地域での市場シェアを守るための時間的猶予がある。 ■株価パフォーマンスとバリュエーション 中国での状況や世界のEV市場の減速により、過去3年間におけるテスラ株のパフォーマンスは非常に不安定だ。テスラ株のリターンは、2021年に50%、2022年にマイナス65%、2023年に102%だった。私たちはテスラの目標株価を約230ドルとしており、米国時間9月19日現在の株価である約243ドルより5%程低い水準だ。
Trefis Team