ルノー・プジョー・シトロエンだけじゃない! 消えたフランスメーカー・シムカはご存知?『さいたまイタフラミーティング2023』で見つけた名車・旧車vol.7
貴重なクーペのハイパフォーマンスモデルがエントリー
シムカ1000から派生したスタイリッシュなクーペが『さいたまイタフラミーティング2023』にエントリーしていた。そのクルマの名は1200S。1962年に発表された1000Sから発展し、1967年に誕生した2+2クーペである。 スタイリングは当時ベルトーネに在籍していたジョルジエット・ジウジアーロが担当。彼の初期作品らしい空気の流れを柔らかく受け流すかのような曲面主体の美しいスタイリングにまとめられているが、同時代のアルファロメオ・ジュリアクーペのような大人4人が収まるのに必要な充分なスペースはなく、後部座席は非常用もしくはラゲッジスペースと完全に割り切られてデザインされている。 メカニズムはベース車のものをほぼ流用しているが、ピゴッツィに代わってシムカの社長となったジョルジュ・エレイユの意向により、1301に搭載されていた1294cc水冷直列4気筒OHVエンジンに換装され、高性能化を狙ってツインキャブレター仕様となった。この改良によりフロントエンドにはラジエターが追加され、フロントグリルとボンネット上のルーバーを新設。1000Sのシンプルさは失われたが、男性が好みそうなスポーティと力強さを持つアピアランスとなった。 こうした改良により1200Sは30ps増しの82ps(1968年以降は84ps)に達し、最高速度は170km/h(同179km/h)となった。エンジンの重量増加に伴い前後重量配分はさらにリアヘビーとなり、ブレーキ性能の低さと相まって、乗りこなすには相応の腕が必要なクルマではあったが。 筆者は過去にセダンの1000は何度となく見かける機会があったが、クーペボディの1200Sを実際に見たのは今回が初めてだった。こうした貴重なマシンに出会えるのも『さいたまイタフラミーティング』の魅力のひとつなのだろう。
山崎 龍