ルノー・プジョー・シトロエンだけじゃない! 消えたフランスメーカー・シムカはご存知?『さいたまイタフラミーティング2023』で見つけた名車・旧車vol.7
純フランスメーカーとは一線を画するシムカの代表的モデル・シムカ1000
個性派揃いのフランス車の中にあってフィアットの影響下にあったシムカのクルマ作りは、良く言えば質実剛健、悪く言えばフランス車らしい個性にやや欠けると言ったところか(あくまでも他のメーカーに比べての話であるが)。 だが、フィアットの流れを組むこともあって、フランス車の中でもスポーティさにおいては屈指のものを持っていた。1950年代にはゴルディーニと組んでF1に参戦していたほか、国際ラリー選手権にも精力的に参戦していた。また、本家フィアットと同じくアバルトとのジョイントによるホットモデルも数多く手掛けている。 そんなシムカを代表する1台が1961~1978年まで生産された1000だ。このクルマは1964年に登場するフィアット850の先行量産車的な役割を与えられたRRレイアウトの小型乗用車で、フィアット600の設計を参考にしつつも、シムカが独自設計した4ドアセダンボディに新開発の944cc空冷直列4気筒OHVエンジンを搭載していた。 ボクシーでシンプルなスタイリングは実用性を重視した結果であり、ボディサイズの割にインテリアは広く、ソファのように柔らかなシートの座り心地も良かった。燃料タンクを後方のエンジンルームに配置したことでラゲッジルームは同クラスでもトップレベルの容積を誇っていた。さらにリアシートの座面を倒せば追加のラゲッジスペースとして用いることもできた。 足まわりはフィアット600のものを流用しており、フロントがウィッシュボーン+横置半楕円リーフスプリング、リヤがセミトレーリングアーム+コイルスプリングの独立懸架式を採用しており、フランスの荒れた舗装でも優れたロードホールディング性能を実現していた。 RRレイアウトのため前後重量配分は35:65とリヤヘビーなことからハンドリングはオーバーステア傾向にあったが、車両特性を理解していれば縦横無尽に操ることができた。実際、優れたファミリーカーとして人気を博しただけでなく、ラリーなどのモータースポーツでも活躍し、モデルライフ後半には手頃なスポーティカーとして若者から支持を集めたという。